2016年5月3日火曜日

みたけ道岩下ルート2016

いっつもの説明をとりあえず。

❖山梨における「みたけ道(みたけみち)」というのは、日本百名山の「金峰山」の山岳信仰のルートのことを言います。山宮が山頂横の「五丈岩」の南にあり、そこに登るのに里宮の「金桜神社」にまずお参りして行くというのが正しい金峰山登山でした。金桜神社のあるのが甲府市御岳という地区です。金峰山講中登山の最盛期には神主の家が70件、参詣者の宿泊所が200軒も在ったと言われています。昔のルートは金桜神社から猫坂を通り、黒平集落を経て、御室小屋に泊り山頂を極めるというものでした。
山梨の地名を考えるとき、参考になる資料として「甲斐国志」文化11年(1814年)成立の江戸時代の地誌があります。その中に金桜神社に至るみたけ道は9口あると書かれています。(甲斐国志 巻ノ二十 山川部第一 巨摩郡北山筋)吉沢村、塚原村、亀沢村、万力村、西保村、杣口村、穂坂村、江草村、小尾村です。当然現在では麓から歩いて行くということはありません。今回はその江草村からのルートを歩きます。


途中にニリンソウとイチリンソウがが同じところに咲いていました。同時に見ることが出来るってなかなかないです。とっても珍しいと思いました。山梨だからでしょうか?これはニリンソウです。


そしてイチリンソウ。こっちのほうが花が大きいです。はっきり大きいです。大きさで違いが判ります。


 岩下(いわのした)の集落のはずれ、みたけ道岩下ルートの始まりです。
昭和10年に発行された、原全教「奥秩父続」という本があります。そこに書かれているこのルートのこと。「文政年間(1818~1830年、約200年前)江草村の岩ノ下の萬屋と云ふ造り酒屋では、大峠まで一丁置きに、石の観世音を建立して祖先の菩提を弔ひ、これを道標に兼ね、御嶽参詣の衆への便宜を計つたのである。それから大峠を観音峠と云ふようになったので、地図のは本当ではないさうだ」  つまり読図をしながらこのみたけ道を辿ろうという今回です。岩の下の集落のはずれにあるみたけ道の石仏NO.1


石仏NO.2これはわかってないと行けません。


そして石仏NO.3.地面に転げ落ちていたので、みんなで組み上げました。お疲れ様です!


元の姿に戻った石仏。


マニアックに昔の道を探し出そうという山行でが、出来る範囲で古の道を辿ろうという感じです。地図読みも実践するので時間がかかります。スピーディーにということをお伝えしたいのですがなかなか難しい・・・早く歩けということではなく、ルートの確認は最低限にして歩くことに専念しましょうということ。やっぱり伝えるのは難しいです・・・
この写真のような昔の道形が登場すると嬉しくなります。


石仏NO.4
青年Mくんが見つけてくれました!


後ろの大木が倒れて転がってしまったようです。台座も掘り起こして元に戻したら、まるで感謝されたように手を合わせたお姿。


石仏NO.5


新緑がみずみずしくて輝いていました。なんとなく平な感じに見えます。昔の道、みたけ道です。


 立派なフデリンドウに出会えました!


石仏NO.6
今までは林道小森川線が、ヨロヤ沢をまたぐところから入っていました。旧須玉町江草岩ノ下集落とヨロヤ沢の間は林道を使っていて、みたけ道を確かめることはしていませんでした。今年はしっかり検証しました。


黒い線が林道小森川線(舗装された林道)で、赤い線がみたけ道、少しわかりにくいけど慣れた人ならすぐわかります。道形がしっかり残っているからです。


ヨロヤ沢に入って初めて出会う石仏。NO.7


NO.8の石仏


NO.9です。道しるべの役目を全うしています。台座に書かれた、上みたけ道という文字。


去年張られた鹿除けのフェンス


伐採地の途中にあるNO.10


ヨロヤ沢から穴小屋澤にスイッチする峠の上にあるNO.11


ここでしか見ることが出来ない、曲岳方面。


穴小屋澤に降り立って出会う石仏NO.12


5月になりました。お昼のあとの柏餅。


穴小屋沢を詰めていって出会う石仏NO.13


コゴミです。正式名は草蘇鉄でしょうか。アクがないのでおひたし、サラダ、ゴマ和え、天ぷらなどにどうぞ。


可憐なワチガイソウ。もう少し低い標高のところにはワダソウがたくさん咲いていました。よく似てました。


原全教の「奥秩父続編」の地図の「地蔵尊」と書かれているものです。石仏NO.14


林道に出て最後はいつもやぶ漕ぎになってしまいます。そのまま正面の小さな沢に入るのではなく、一本東の沢地形から入るとそのほうが楽だし、ダイレクトに大峠に出ることが出来ます。これも今回確認したことです。大峠の石仏NO.15


兎藪1449.4m(三角点名:孫左衛門)とマナリ岩1363m(左のピークです)。当初はマナリ岩の南のコルに行って、マナリ岩の西を回ってヨロヤ沢に戻ろうと思ったのですが、林道が伸びていて面白くないだろうということで予定変更。ヨロヤ沢と穴小屋澤の間の尾根の上部にいるので、うまく降りたら石仏NO.11のコルに戻れるという展開になりました。細長くフラットな尾根、最後は3本の尾根に分かれます。石仏NO.11のコルのすぐ南の個所。そこでしっかり読図が出来ないとねっらた場所に行けません。地図読みの良い練習になりました。


まだ咲いていたヒトリシズカ。


2年前にもお会いした方です。檜の苗を植えていました。2年前はネットは設置されていませんでした。シカの食害で、植えた苗半分がダメになってしまってネットの設置となったそうです。


最後は山菜採り。コゴミ、コシアブラ、タラの芽、ワラビ。




現在の萬屋さんです。今回は岩ノ下の集落からヨロヤ沢までの間のみたけ道を確認できて、新たに石仏を発見してとても充実したみたけ道となりました。丁目(約109m)ですから、間の空いているところは次回以降、新たな石仏を発見できるかもしれません!


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