2020年9月30日水曜日

十石山

写真は長野方面から上高地に行くときに沢渡の駐車場に車を停めますが、その沢渡です。沢渡大橋の東のたもとから見あげたらなんと目指す十石山が目の前に見えることに気が付きました。。この山を意識しなければ見えなかった景色ってことで目からうろこでした。

沢渡からさらにドライブして到着の白骨温泉入り口の駐車スペース。

車道を20分くらい登って登山口。


白骨温泉から中房温泉に通じる林道があったようです。どのくらい前かはわかりません。その林道がスーパー林道。その林道がらみの遊歩道が昔あったという道標。十石山への登山道は左に曲がります。きっと十石山への登山道で一番わかりにくいポイントです。


オヤマボクチというアザミの仲間でしょう。はじめて出会いました。雄山火口でオヤマボクチ。火口というのは焚き付けに使ってたということらしいです。花が終わった種のほわほわ


白骨温泉から2時間くらい登ったところから傾斜が緩やかになります。そこまでの登山道はカラマツの植林地で歩きにくいです。


昭和のホーローの案内板が登場すると急登はなくなります。


始まっていた紅葉


山頂への斜面を右上する独特の登山道。


整備された登山道ですが、笹がとても邪魔になります。整備されされているのですが、笹の根っこがなかなかで邪魔した。


真ん中の人工的なスペースが沢渡の駐車場群です。


山頂直下で見えた奥穂高岳と前穂高岳。稜線に出れば大展望だと期待しての登りでした。


残念ながら稜線での大展望は叶いませんでした。十石山山頂よこの避難小屋。これで主稜線に上がったわけです。


手入れされた十石山避難小屋内部。避難小屋の内部を見て下山です。


下山途中で見かけたオオシラビソ。この樹のトップから見てみてください。上の方の枝は真横に延びていますが、途中から枝が一旦下に向かって伸びています。これ、真横に延び枝の下の曲がってる枝まで雪が積もるって事です。3~4mはある積雪がシラビソの枝で分かるってことです。


下山途中から見えた白骨温泉。


温泉街入り口の駐車場。


 

2020年9月28日月曜日

クロスオーバードーム

今シーズンコロナ対応で使っているヘリテイジのクロスオーバードーム f <2G>。テントを支えるポールの中のショックコードが切れたので修理しました。この自立型ツエルトともいえるクロスオーバードームの徹底した軽量化へのチャレンジが凝縮している!と思えたポールのショックコードの仕組みでした。そういえばこのテントをテーマにした記事はありませんでした。


クロスオーバードーム、はじめてテントを購入する人は止めといた方がいいです。通気性を求めたメッシュやレインフライなどがないため僕も工夫して使っています。タープとグランドシートはかなり研究しました。クロスオーバードームは本来テントに求められる快適性・安全性という機能を、軽量化と引き換えにそぎ落としてます。そぎ落とされた部分を補うための経験・技術が必要な難しいテントの形をしたシェルターです。


最新号のFielderにも取り上げていただいてます。vol.53


「玄人が選ぶ野営道具選」というコーナー。Fielderは登山専門誌ではないので、ほかのアウトドアマンはナイフや炊事道具でした。10月発売の登山専門誌にも登場する個室対応のテント泊。


クロスオーバードームのポールのショックコードの仕組みと比較する意味で、他のテントはどうなってんだろうとチェック。写真はアライテントのエアライズ3~4人用です。


こちらはBlack Diamondのファーストライト


Black Diamondのファーストライトのポールのショックコードの仕組みはどうなんだろうとバラしてみてびっくり!なんと2か所もゴムが切れていて、外皮のナイロンだけで辛うじて繋がっていました。


念のために言っておくと、ショックコードというゴムが無くてもテントは立てられます。でもショックコードがセットされていると素早くポールがセット出来ます。クロスオーバードームのショックコードの長さは230cm。税込231円でした。ヘリテイジに注文しました。


直径7.5㎜のアルミ合金のパイプに長さ、37.5㎝が7本、32.5㎝と30㎝が1本づつ、合計9本に分割されたパイプ。両端がプラスとマイナスって言うとわかりやすいと思いますが、プラスマイナスでジョイントされるわけです。鳳凰に登った山行、いきなりゴム切れましたというお客さんの訴え。7.5㎜の中空のパイプはフィッシャーマンノットで結んだゴムを自由にパイプの中を動かしてはくれませんでした。それでもその場は何とかしましたけど。


ちなみにBlack Diamondのファーストライトのショックコードのゴムが左、右がクロスオーバードームのショックコードのゴム。


上からアライテントのリアライズ、真ん中がBlack Diamondのファーストライト、一番下がヘリテイジクロスオーバードームのショックコードのエンド部分です。いちばんシンプルなのが真ん中のBlack Diamondのファーストライトでパイプの中に入る大きさのワッシャーにゴムを結んでるだけです。クロスオーバードームのパイプでは出来ない結び目の自由な移動がアライテントとBlackDiamondテントでは可能です。


ヘリテイジはエンド部分のこの黒いパーツを「樹脂石突き」と言っています。このパーツのくびれているところに2㎜くらいの細引きをガースヒッチ(タイオフ)にして引っ張ると樹脂石突きが外せるとうたってます


エンドの結び目を樹脂石突きの先端に持ってきてポールのパイプに入れるわけです。石突きには約2㎜のゴムが入る溝があります。ちゃんとセットすると樹脂石突きの幅で全部収まってパイプに入るわけです。このゴムが切れてフィッシャーマンノットで結んだとき、パイプの端っこのプラスは通るけど、マイナス側は通りません。そのくらい径が細いパイプです。物作りの軽量化への道は、パイプという金属部分を削るというわかりやすいところからだったのでしょうが、ショックコードをどうするか?ということに突き当たり、結局エンド部分の樹脂パーツを作るところまで行った。そう想像すると執念のテントがクロスオーバードームということになると思います。


そんなクロスオーバードームの開発秘話はあくまで僕の想像です。でも工夫しながらだいぶお世話になってます。もう一回言っときます、初心者はこんな難しいテントには触れない方がいいです。

2020年9月26日土曜日

無名の沢

地形図が読めると言っても全てがわかるわけではありません。大まかな地形がわかるだけで、等高線がゆるいからといって平らでないことの方が多いです。あとは植生もおおまかにしかわかりません。下の地図でも広葉樹林と針葉樹林、そして荒地の地図記号が見えます。右端の主稜線のコル状の確認に行きました。登山道を北から行っても南から行ってもとても時間が掛かるので、林道から目的のコルに直接沢を行くことにしました。標高差は約250mだけです。ただ林道とコルの中間くらいにある岩崖の記号と等高線の先端のシャープさが気になりました。青線が顕著な沢地形です。


林道から見た沢の入り口。必ずあるであろう滝がどんなかなって気持ちでした。沢登りの準備として沢靴とロープは持ってました。沢靴がないと歩けません。


すぐに現れたえぐれた沢床。気候変動で雨の降り方が変わったことを表してると思います。


もう一度地図に戻ります。みどりが二俣。あかが最初の滝、あおが最後の二段の大滝といってもいいくらいの滝です。

みどりの二俣。左からの土砂の押出がすごくて本流という印象です。右の暗い森の中に目的の流れがあります。


あかの初めの滝を上から見下ろしました。F1で5ⅿといったところ。登れそうだったけど完全なシャワークライムになるので左から巻きました。


あおの大滝二段。下段が12m、上段が7mという目算。ちょっと難しい感じで右から巻きました。岩崖マークの東端が水の浸食で滝になっているのでした。岩崖は滝の右にも続いているわけで、このことは登山において迷ったときに沢に降りちゃダメ!っていう鉄則にも通じます。水が流れている滝だけがヤバいわけではなく、滝の横も岩壁になっているので容易に下れません。

岩崖マークを過ぎれば落ち着くという読みは、全くその通りになりました。

沢地形は右に曲がりながらさらに上の方に続いていましたが、左にひと登りで目的のコルなので沢から離れました。

目的のコル

大きなウメバチソウがたくさん咲いていました。

アップにしてみたらだいぶ年期が入ってました。あっという間に秋です。

山と高原地図にも水場として書かれている沢です。登山道のある稜線から5分の水場で、枯れることはないでしょう。


2020年9月25日金曜日

六合石室

尾白川吊り橋を渡って登山口、甲斐駒ヶ岳黒戸尾根の登山口です。黒戸尾根の登山口はもう一つ東の横手口もありますが、この竹宇口が圧倒的に多い登山者です。約2200ⅿの登りの始まりです。黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳山頂に行って、鋸岳に延びる尾根の途中の六合石室に泊まって日向八丁尾根を下る周回ルートって登山でした。


笹の平手前、この場所の景色は大好きです。条件が良ければ写真の先から甲斐駒山頂が見えます。


平成生まれのパートナーにトレースしてもらいたくて古い登山道に入った粥餅石。この読みは「かゆもちいし」が一般的ですが、本来は「かいもちいし」、甲州弁で「けえもちいし」。黒戸尾根を開いた弘幡行者が開山にあたってお粥と餅だけで修業した場所というのが名前の由来。炭水化物がないと行動できないってことでしょう。


刃渡り


五合目の鞍部、正面が屏風岩です。


梯子、鎖場の始まり。


横手前宮秋の登拝の皆さんにばったり。どうりで途中の石碑の紙垂(しで、おしんめ)が新しかったわけです。7月と9月の横手駒ケ岳神社の登拝登山。脈々と続く甲斐駒の講中登山。猟師だし山伏でもあるマルチなガイド、田村君に吹いてもらった法螺貝。


七丈小屋を運営しているファーストアッセント代表の花谷泰広さん。泊まるわけじゃないのに手ぶらで通れないって思うんでシャインマスカットが手土産。


八丈台地。


九合目を過ぎ地獄谷の覗きで遊んだりして。


奉納されたばかりの山頂の草鞋。


秋はどんどん進んでます。


甲斐駒山頂西から鋸岳に延びる尾根の上にいくつも登場する削られたステップ。その一つなんですが、歩きやすくするためのものだってすぐにわかります。戸台側からの登拝路です。


稜線の西側の大きなケルンは大事な目印です。このケルンを左折して下ると六合石室。いつの間にか大きくなっていたケルンです。そのくらい迷う人が多いのかなって思いました。


黒戸尾根の六合目は2250mくらいの標高ですが、戸台側の六合目は2520m。六合石室という無人の避難小屋はとてもありがたい小屋です。


10数年前に屋根や床がリニューアルされてとても快適になった避難小屋です。ベースの壁が石積みなので石室といわれるわけです。


1919年(大正8年)にはじめの小屋が建てられたそうです。以前は壁の石積み、隙間だらけでとても寒かったのですが、今でも隙間はあるものの目止めのセメントでだいぶ快適になりました。


意外に明るい内部。


プルコギ丼が夕食


翌朝、小屋から北に続く水平のトレースを進むと主稜線に出ます。白ザレの戸台川の石碑が有るわかりやすいところです。


三ツ頭まで進んでザックをデポ。その先の中ノ川乗越まで行くテーマだったのでピストン。写真は熊穴沢を上から覗きこんでるわけですが、強風、強風、強風でした。


中ノ川乗越


双耳峰の烏帽子岳の東のピーク。強弱があったものの、強の時は思わず耐風姿勢を取ってやり過ごした強風でした。強風でバランス崩したら悲劇です。


標高2550ⅿくらいから振り返ったら見えた中ノ川乗越。大きなギャップがそうです。


目を前に向けると樹間に大岩山。


そして振り返ると日向八丁と真ん中に烏帽子岳。


日向八丁の最後は大岩山南のコルです。右は金山沢、左は大岩沢というポイントです。そこから梯子、鎖場が続きます。すごい傾斜ですが鎖が助けてくれてどんどん高度を稼げます。


大岩山


このカラマツ林は天然。笹がきれいな駒岩手前。


日向山でも強風。まるで砂嵐の様で耐風姿勢を取るしかありませんでした。砂が痛かったです。


いつもの日向山北東尾根を読図をしながら下りました。


最後はむかしの仕事道を有り難く下るわけです。


その昔の仕事道の最後は、無残にも林道に削られて終わります。
甲斐駒ヶ岳と日向八丁尾根を絡めた山行、時計回りでも反対でも六合石室に泊まるという計画にすれば理想的な山行になると思います。どちらも同じくらいのエネルギーで歩けます。