2020年11月16日月曜日

カンマンボロン

カンマンボロンとは花崗岩の岩峰が峻立する瑞牆山(みずがきやま)、洞ノ岩(どうのいわ)の付け根の岩壁に刻まれた梵字の様に見える壁を指します。弘法大師がカンマンボロン(大日如来・不動明王という意味)と刻んだということになっている風化した花崗岩の壁です。

瑞牆山の一般的な登山ルートは、南の富士見平小屋か北の不動沢経由かなんですが、カンマンボロン経由で大ヤスリ岩の下で富士見平小屋ルートに合流するのがパノラマコースとして知られています。言わば瑞牆山への第3のルートとも言えます。みずがき山自然公園あたりから取付きます。天鳥川南沢の右岸を進みます。登りはじめのカラマツの植林地の中にはたくさんの炭焼窯の跡。

赤いペイントがルートを示していました。天鳥川南沢右岸からカンマンボロンを経て、大ヤスリ岩に向かう瑞牆山最短ルートのパノラマコース。正確な年代はわかりませんが、瑞牆山荘の先代が開いた登山道らしいです。


進むにつれ傾斜が増します。樹間から見える岩峰群。右が大面岩、小面岩。

アルミプレートの立派な標識。天鳥川から一気に高度を稼いで洞ノ岩に向かう傾斜マックスの岩にありました。ピカピカですが新しい物ではないと思いました。グリーンロッヂと書かれていることが年代を感じました。この辺りは2001年(平成13年)5月20日に開催された「第52回全国植樹祭」で大きく変化しています。天皇陛下も来る国家的イベントでした。


今のみずがきやま自然公園はその時に整地された広場の跡地。跡地利用が山梨県に移譲されて様々な整備がされたのがイベントの3年後。そのタイミングで天鳥川南沢左岸の富士見平小屋への登山道なんかが整備されたのだと思います。先ほどの道標もその前後に設置されたのだと思います。正確なことはわかりませんが、エリアにとって劇的な変化があった約20年前ってことです。写真はパノラマコースのポイントで、カンマンボロンへはピストンとなります。


枯れた木はこの辺りでは珍しいブナだったかも知れません。パノラマコースを拓いた瑞牆山荘の先代の言葉です。


狭い岩の隙間を通ります。


カンマンボロン。5~6人限定のスペースです。


みずがきやま自然公園から一気にカンマンボロン、洞ノ岩の付け根に達した後のイメージは、大きめの尾根を越えて沢地形をまたいで、小さな尾根を越えた後で小さな沢の上部から大ヤスリ岩を目指す感じです。


2個めの小さな尾根から見えた大ヤスリ岩。


2個めの小さな沢にあった昔の標識。


見上げる大ヤスリ岩南の、クライマーの間でナイフピークと呼ばれている岩峰。


トラロープの向こうはが富士見平小屋からの登山道です。


コロナ禍で一極集中代表の瑞牆山山頂は激混み。特定の取付きやすい山に登山者が集中するという今季の山の傾向です。


瑞牆山の山頂は東峰とも言える一般的な山頂と、西峰の弘法岩と呼ばれる二峰です。その間のコル。コルから北に向かうと不動沢に下るルートです。


コルから見た弘法岩。


弘法岩の南は広いテラスになっています。写真は山頂、東峰です。


周回すべく、弘法岩北西の十一面岩を目指しました。薄いトレースがあるんじゃないかって高をくくっていたのですが撃沈。コメツガの暗い森にはほとんど人の痕跡はありませんでした。苔と針葉樹は大岩を覆っています。グランド面の様子が判然としないので3回くらい懸垂下降をしました。弘法岩から北西に延びる尾根上の十一面岩のピーク、地形が判然としない中、左右の沢地形に神経をとがらせながら下りました。


十一面岩のピークが複数あるってことは考えてませんでした。100mくらいの水平では地形図は表現できないってことだと思います。二万五千図です。とりあえず目の前の岩峰に登ってみたらその先のピークにいたクライマー。クライマーのいるピークが十一面岩奥壁のピークだったというのは後で分かりました。


奥壁のピークへはトンネルのような岩の間を抜けてきました。


くだんのクライマー氏にすれ違い。すごい装備だ!


行かなかったけど十一面岩正面壁のピーク。みずがき山自然公園から見える十一面岩のピークです。


十一面岩奥壁のピークと富士山と大ヤスリ岩。


矢立岩の奥に美しい小川山。


十一面岩奥壁の東のコルからどんどん下りました。十一面岩まで行けばクライマーのトレースがあるって思っていました。弘法岩から十一面岩まではトレースは全くなかったもんで楽が出来るわって気分、トレースです。


見上げる十一面岩正面壁。


急なルンゼ状を激下りです。


最後は十一面末端壁です。日本のフリークライミングの歴史を作ったルートの数々に出会えます。基本クラッククライミングです。


ちょうど春うららワンピッチ目にトライしているクライマーがいました。春うららという名前のルートです。5.11b、これはルートの難しさを現す数字です。


クライミングにもいろいろあって、こんなマットを持った人たちがうろちょろしている瑞牆山界隈です。ボルダリングという大岩登りの人たちが使うマットです。


ぐるっと回って瑞牆山から見た瑞牆山。なんだか瑞牆山にようこそ!って言われたような感じの山行でした。


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