2021年5月31日月曜日

田んぼの鏡

塩の道大網峠越えのお手伝いに行った先週でした。合流場所の大糸線根知までの3時間のドライブは早朝の信濃路です。この季節、広がる田んぼが鏡となって山々を映す風景がとてもきれいで、なんどもなんども車を停めて写真を撮りました。有明山や常念岳が見えるのでどこかというのがわかると思います。

はるか北アルプスの北部まで見渡せました。

お田植えの季節です。田植えが終わった田んぼ、代かきを終えて田植えを待つばかりの田んぼが並んでいます。どの田んぼも満々と水をたたえて、まるで大きな鏡が出現したかのようです。


大町です。正面に爺ヶ岳、右に鹿島槍ヶ岳、さらに五竜岳。

残雪のアルプスを映す鏡のような田んぼ。

大町のこの角度の山には登ったことがないので同定は自信がありません。あっ、爺ヶ岳には登ったことあります。登った山は同定しやすいです。それは実際登っているので地形の変化が実感できるからです。一番でっかいのが針ノ木峠の東の蓮華岳、その左が北葛岳、一番左のチョコっと頭が出てるのが唐沢岳、間違ってるかもですが。

春は風の季節、さざ波があるだけで鏡ではなくなってしまいます。

佐野坂を過ぎ白馬の入り口まで来ました。美しい残雪の山が鏡のような田んぼに映っています。


白馬三山から唐沢岳。

いっきに飛んでツアー開始。根知谷の田園地帯を進みます。この日の最高標高の大網峠は尖がった戸倉山の左です。田んぼに映る戸倉山です。

根知谷を進むツアー。

このコースの初めのハイライト、大ザイの神の根上がりの杉。

大網峠おあみとうげからの下りの沢地形には最後の雪が残っていてビックリでした。標高800mくらいのところです。

難ルートの始まりの沢地形。

大網峠からの下りは簡単な古道とか街道歩きではありません。普通の登山道に置き換えてもトップレベルに近い危険な道です。それは急峻な下りと、ぬめりのある沢の流れの上を歩かなければならないからです。

しっかり準備しました。ぬめったスタンスにタオルを敷いて体重移動ができるようにしました。足を置いたところが滑ったら立つこともできません。そこが滑らなければたった2,3歩なんだけどしっかり移動できます。

さらにバランスキープ狙いでロープをフィックスしました。微調整が必要な難しい準備でした。この準備で多くの人がスムーズに通過出来るわけです。通過後は拍手が起きました。

通過地点の下はこんな滝。やばいところはいつもこんな感じです。全体を見なくてはなりません。

危険な大網峠下山ルートも横川の吊り橋まで来れば安全です。緊張が終わった瞬間って思いました。

あとはのんびり塩の道、って気分で歩きました。

大網宿の様子。小谷三宿のひとつの大網宿です。あとの宿は来馬と小谷です。


ヘビーな仕事のあと、松本盆地まで移動したら素晴らしい夕焼けでした。

2021年5月29日土曜日

破風山避難小屋

西沢渓谷入り口駐車場に車を置いて、鶏冠尾根を登り青笹尾根を下った時計回りの周回山行。宿泊は木賊山と西破風山鞍部の破風山避難小屋を利用しました。今回事前に地形図をじっくり見て水が取れそうなところをチェックしました。登山地図の水場は小屋の南の山梨側にありますが、水場往復がとても辛くもっと楽に取れればと思ったからでした。
写真は二股吊り橋からの鶏冠尾根です。

西沢渓谷への道を分け東沢の河原に降りた先の曲がり角の様子。河原状のこの辺りは大雨で水の流れが変わります。数年に一度変わる感覚です。巻き道も右岸上部斜面についていますがとても悪いです。鶏冠尾根の末端取付きは鶏冠谷に入ってすぐ左です。鶏冠谷は東沢左岸に入るので東沢右岸を登って鶏冠谷出合で渡渉があります。渡渉初体験の方もいてちょっとハイテンションの渡渉。写真の左曲がりがいつまでも歩いて通過出来ますようにと祈りながら通過しました。渡渉が一回で済むからです。

急な尾根の登り。


これはウコギ科のタカノツメの樹皮に残されていた熊の爪痕。タカノツメの黒い実が好物みたいです。タカノツメの大きな木に結構ついている爪痕。ただ普通は鋭い爪がしっかり刺さった爪痕なのに、こいつは爪立てて滑りながら登ったみたいで、ずっと滑った爪痕が上に続いていました。木登りがへたくそな熊が必死に登ったと思わせるものでした。

チンネのコル。巨大チョックストーンの東御築江を覗きに行きましたが、ちょっと遠いので覗いただけです。あの下に御築江の窓と言われる大穴があるのだと思います。

鶏冠尾根の岩稜。

第二岩峰手前の鎖場。第二岩峰手前にもうひとつ鎖場があります。

第三岩峰を直登。


第三岩峰の山梨百名山の標柱。


2115m標高点。鶏冠山山頂と言われます。地理院地図にも標高点横に鶏冠山と書かれています。第三岩峰をピストンしても、さらに先のこの標高点に立たないと鶏冠山に登ったことにならないという人もいます。僕はどちらでもいいと思います。もちろん第三岩峰には立たなきゃとは思いますが、鶏冠尾根の魅力は木賊山までこの長い尾根を歩くことが本来の山の魅力だと思っています。

2177m標高点。ここも展望が良いピーク。左のとんがりが甲武信ヶ岳です。

主稜線にあった宮標石。

登山道は本当にありがたい。やぶ尾根を歩くと実感します。

バイカオウレンがきれいでした。


木賊山下りの途中の賽の河原と言われる砂礫地。正面に西破風山。最低鞍部に破風山避難小屋です。


やっと本題です。地形図にナンバーを付けました。は賽の河原西の水場。は小屋の埼玉側の水場。は登山地図にも載っている水場。なんでこんなことを考えたこと言えば、の水場へは行ったことがあるんですがかなりの急登で、もっと楽に水が取れないかとじっくり地図を見たということです。を説明すると小屋前の沢を下って東の沢と合流するところに水が出てます。青い点のところです。小屋からの標高差は150mもあります。往復30分はかかるでしょう。小屋前には20分と書かれてはいますが。


賽の河原の。上の地図のあたりを狙ってトラバースしてみました。下の写真の倒木帯を通過してです。かなり悲惨な感じに見えますが、実際行ってみるとシカの道が縦横無尽に走っていてそんなに苦労しません。のポイントまで5分くらいでした。

のポイントの様子。全く水流の痕跡さえありません。地図に崖の記号があり、そこから小さな沢が下っています。ポイントの手前です。それが青い点で合流します。青い点の下で水が流れていました。

きっともう少し下ると十分な水量が確保できるでしょう。この時は小屋到着前なので、様子だけを見に行って容器を持って行きませんでした。正直これは失敗で、ここで水を確保するのが一番楽でした。今にして思えばです。


破風山避難小屋。薪ストーブがあり、知り合いの登山者が整備されています。Fさんありがたく使わせていただきました。

の下り。埼玉側はやさしい傾斜です。それは地図を見ればわかります。想像以上にコケのきれいな谷でした。

もう一度ナンバーを付けた地図をのっけます。


実際の水の吹き出し。なんだかよくわからない写真ですが。の上の青い点です。


青い点の下、破風山避難小屋の印刷された破の文字のところが二俣です。左からの枝沢が出合うと水は出ているだろうと考えていました。実際はさらに下流でした。森が安定しているのだろうと思います。小屋からの標高差は165m、往復で50分くらいかかってしまいました。

ご一緒した方たちに、はかなりギャンブルだけど、どう?と投げかけてみましたが、みなさん地図見て狙って水を取りに行くなんて初体験で、かなりワクワクしているようでした。本音はどうだったんでしょう?


翌朝は快晴。

西破風山に登り、真南の青笹尾根を下りました。ダム湖目指して長い尾根です。


主稜線から青笹尾根に下り登場する岩だらけの展望のいいところ。こんな岩の堆積したところでも尾根のトップは確認できます。こんな場所は大好きです。

青笹尾根は恩賜林の境界なので標識があります。下るにつれカウントダウンしていくナンバーです。

アズマシャクナゲは見事でした。

1855.7m四等三角点の点名は「ナメラ沢」。ナメラ沢は東の沢。その三角点ピークが正面。

せっかくなのでいただいたコシアブラ。

1657.2m四等三角点、点名「ナレイ沢」からは防火帯の開けた尾根になります。ナレイ沢は青笹尾根の西の沢。

下山した西沢渓谷駐車場は満車でした。新緑の西沢渓谷は人気なんですね!