2024年5月31日金曜日

竜喰山

今年は辰年です。龍または竜が山名につく2,000m以上の山が4つ、五竜岳 飛龍山 龍王岳そして竜喰山だそうです。竜喰山に登ると4つの竜の山をコンプリートということで登ってきました。

合流のJR中央線塩山駅、駅舎をツバメに開放しているめずらしい駅です。そんな風に思えるくらいツバメが飛び回っています。北口の階段の降り口の上には抱卵しているツバメがいました。

塩山から柳沢峠を越え、丹波川の支流の一ノ瀬川を北上。竜喰山が見えました。柳沢峠越えの国道411号線は甲州街道の裏街道として使われてきた道です。多摩川の源流地帯を下り青梅街道となります。


甲州市の一之瀬高橋といわれる地区です。民宿見晴らしの駐車場は1日500円。車を停めようと思えばどこでも可能ですが山奥の寒村に少しでもお金を落とすという感覚は必要でしょう。売上に貢献する、ちょっとだけですが。


地形図の徒歩道通りに進んだらお墓と道祖神がありました。


どこにでもあるような進入禁止の看板ですが、右下の東京都水道局という文字に注目です。ここは山梨県ですが実質東京都なんです。多摩川の源流にあたるこのエリアは明治34年から水源林として東京都が管理していて、民宿みはらしののおばさんも「もっと駐車場を広げてほしいじゃんね、東京都は」なんてつぶやいていました。


一之瀬高橋三ノ瀬から将監峠への道は車道です。かなり脆弱な林道に車で入れるわけですが、もちろん一般車は入ることはできません。三ノ瀬の標高1270mから沢沿いの車道を登り、1445m標高点の先で林道と登山道が分かれます。


登山道両側の笹を注意深く観察しながら登りました。ちょっとだけ笹の花が咲いていました。


笹の花のアップ。60年に一度花が咲くと枯れるといわれる笹や竹です。


比較的なだらかな尾根を1800m圏内に入ると、歩くのが楽になる傾斜になります。


登った尾根は七ツ石尾根といわれているようです。稜線に近づくと牛王院平です。なだらかな丘陵地帯に笹原が広がる解放感あふれる場所。武田の埋蔵金が埋まっているなんて話もある場所です。


東京都水道局の仕事ということで10人くらいの職人さんが鹿柵を設置していました。


将監(しょうげん)峠です。南に開けた草原状のは防火帯という意味があるんでしょう。南にちょっと下れば将監小屋があります。このいかつい名前は、戦国時代の武田信玄はこの峠付近でも金を採掘したといわれていて、当時の金山奉行の芦沢将監の名前が峠名になったといわれています。


東京都の水源林です。巡視路が縦横無尽に設置されていて、よく手入れされているものや、笹が刈り払われているだけで分かりにくいものがたくさん見られます。地形図には書かれていないので難しい道だったりもします。登山道と巡視路は一致していて、それとは別に稜線のトレースがあるイメージです。


竜喰山への稜線の道、すごい傾斜の怒涛の登りでした。


稜線から見えた将監小屋です。


稜線上はこんな感じで、はっきりしたトレースがありました。


竜喰山山頂、展望はありません。手前の笹原がきれいでした。
一之瀬高橋の南に黒川鶏冠山があり、その東の沢の中に武田の金山の黒川金山がありました。竜を喰らうなのか喰われるのか、竜喰山なんてすごい名前ですが、竜喰谷に金山があったということでした。


ハウチワカエデの赤い花


ミツバツツジの鮮やかな色


七ツ石尾根を下って三ノ瀬集落に出る手前の様子。大きなトチノキが数本あり、左の県道方面に行かなくても、右の昔からの山仕事の道を進むとすぐに集落に出ます。


民宿見晴らしでトイレを借りたらお茶の時間となりました。わらびの煮物やフキの煮物と山の山菜。


お茶をいただきながら昔話を聞きました。塩山から嫁に来た時は柳沢峠、犬切峠を歩いて越えてきたのだそうです。大工だったご主人を亡くされたのはずいぶん前。住み慣れた一之瀬高橋での暮らしをお聞きしました。


2024年5月29日水曜日

富士山 幻の滝

今年も懲りずに富士山須走口の幻の滝に行きました。東海道新幹線三島駅でお客さまと合流した後、ぜひ見てほしいところがありました。そこからスタート。


三島溶岩流の露頭が駅ロータリーの横で観察できます。1万年前の噴火で愛鷹山塊と箱根山の間を流れ下った溶岩流は40㎞離れた三島、長泉、清水町まで流れました。この辺りはたくさんの場所で富士山の玄武岩が見られます。新幹線を降りてすぐに1万年前の固まった溶岩流が運んできた玄武岩が見られるなんてすごいです。


日本一短い一級河川といわれる柿田川は、富士山の湧水で始まり狩野川合流まで全長1.2㎞です。国道1号線のすぐ横から始まる柿田川です。


富士山に降った雨や雪が30年の時を経て湧水となって突然始まる柿田川です。


日本三大清流の一つで、水生植物がたくさん生えていて、代表はミシマバイカモです。残念ながら花の時期ではありませんでした。バイカモの水中の白い花はとてもきれいです。


この第2展望台の人工物は製紙や紡績に使われた跡です。サークルの底に砂が踊り、水が湧いている様子がよくわかります。


旧高野邸(製紙会社を起こした人)の古民家が数棟あり、レストランやおみやげ屋さんとして利用されています。清流を利用した豆腐料理が名物みたいです。


豆腐の味がしっかりしたソフトクリームをいただきました。30年かかって湧水となって地表に現れた水に会ったので、次は生まれたばかりの水が流れる幻の滝という流れです。


柿田川から新東名を通り、ふじあざみラインで登ってきた須走口五合目です。1万年前に三島溶岩が流れた上の高速道路で移動したわけです。


富士山の側火山の一つ、小富士を訪れました。


ここは展望が良いのでお勧めです。山中湖なんかすぐ下に大きく見えます。


中学生の修学旅行なのか、すれ違いが大変でした。


五合目の菊屋さんにはいろいろ教えていただきました。「昨日は2時過ぎに流れたみたいだよ~~~」幻の滝を見るための時間調整のような柿田川や小富士でした。午後2時過ぎに現場に行くという意識でした。


菊屋さんのお蕎麦。


五合目のバッコヤナギの花は終わっていました。


まぼろしの滝がある沢は成就ヶ沢で別名"不浄流し"といいます。上部の雪解け水が流れてこないと滝を見ることが出来ません。上部にしっかり雪がないと水量が少なく下まで流れてきません。条件が整わないとだめで、過去3回はまぼろしに終わっていました。


条件が整うと水たまりができるくらい流れるのか~~~などと思いながら上流に眼をやると~~~


吹き溜まりに残っていた雪。


お~っ!流れて来た!3年越しの瞬間まで粘りました。


ナメ状のところは流れますが、途中の砂地では砂に吸い込まれるように浸みて、やはり水量が多くないと下の方までは流れません。まぼろしといわれる所以です。


動画も撮ってみました。まぼろしではなくやっとリアルに見ることが出来た滝に満足!


十里木のペンションに泊まった翌日は、須山口のブナ、ハリモミの森を歩きました。たくさん咲いていたツルシロカネソウ。


ヤマシャクヤクも


クワガタソウもたくさん咲いていました。


そして見慣れない植物が目に飛び込んできました。なんだこれ~~~


ヒメムヨウラン 姫無葉蘭 という名前のランでした。アップにしたら確かにランの形です。腐生植物の種類で、植物なのに光合成をしないで菌類から栄養をもらうということでした。腐生植物で僕らに馴染みなのがギンリョウソウで、同じ分類のようです。


四辻まで足を延ばし雄大な景色に触れました。


カラマツの森からブナの森に戻り幕岩に下りました。


幕岩の案内板が砂に埋もれていました。幕岩は滝です。普段は水が全く流れていませんが、雨なのか雪代なのか上流の大量の火山性の砂が運ばれ埋まってしまったのでした。


ブナの森を帰りました。


ゴールの水ヶ塚駐車場。柿田川と幻の滝とブナの森、山頂に行かなくとも雄大な富士山の自然に触れることが出来ます。