2025年7月22日火曜日

北岳吊尾根

傘寿(80歳でしょうか?)を越えた先輩が北岳吊尾根に行くと聞き、僕でも力になれればということで昨日まで行っていた北岳です。梅雨明け間もない素晴らしい青空で渡った広河原の吊り橋です。


広河原―肩の小屋-北岳―八本歯のコル-ボーコン沢ノ頭ー池山御池小屋ーあるき沢橋というコース設定。出発は奈良田、山梨交通のバスで広河原移動です。始発5:30をねらって行きましたが、全国からくる登山者であふれていて登山口あるあるです。バス4台で登山者を運んでいましたが、人気の山は大変です。


北岳肩の小屋でテント泊ということで付き合いました。森林限界を超えた幕営地はなにかと難しいわけですが、この日は風も優しく問題ありませんでした。北岳の登りで日の出を迎え山頂へ。


北岳山頂から多少の岩をこなし、北岳山荘との分岐が吊尾根分岐ということを再確認した今回でした。そうか、吊尾根は北岳にとって重要な尾根なんだとのんきに思いました。北岳から東に延びる長大な尾根が北岳吊尾根です。写真の手前のピークが八本歯ノ頭、奥がボーコン沢ノ頭です。


会いたかったタカネマンテマです。丸っこい花です。


キタダケソウはとっくに終わっていることはわかっていましたが、キタダケソウの葉を見つけられたのは良かったです。


さらに観察していて分かったまずは、ハクサンシャクナゲの種。ハクサンシャクナゲとキタダケソウを間違えるというのは有名な話です。


そしてこちらがキタダケソウの種。まったく違うということが分かったのは初めての事でした。


吊尾根分岐から八本歯ノコルまでは、整備されているとはいえ非常に厳しいルートです。


傾斜に弱い人はこんな下りに閉口するだろうな~なんて考えながらの下り。


北岳山荘へのトラバースルートの分岐あたりの岩場。どこをどう通ったされたらいいかという人もいるんじゃないかなと思いました。岩にペイントされたマーキングが薄いからです。


この梯子に近い階段を下りて八本歯ノコル。


ほぼほぼ八本歯ノコルから見上げた八本歯ノ頭。


八本歯ノ頭への登りでうまく撮れたシコタンソウ。この小さな花のカラフルさは驚異的です。


タカネビランジも咲き始めていました。


甲斐駒ヶ岳と北岳のツーショット。


北岳吊尾根の登山道は時に明瞭ですが...


ハイマツが伸び不明瞭なこんな感じのところも多かったです。でもしっかりトレースはハイマツに下にあるので根気よく見極めれば問題ないと思います。


秋になると真っ赤になるウラシマツツジがとても多い稜線でした。


ボーコン沢ノ頭のケルン。そして富士山。


振り返った吊尾根の奥には北岳。


ボーコン沢ノ頭から右に曲がって池山御池小屋に向かいます。標識がしっかり立っています。北岳の稜線からほぼ東に向かっている北岳吊尾根ですが、ここで右に曲がる感じのルートです。ここを地形図で見ると池山御池小屋へは自然に東に向かう感じですが、実際の現場でではまっすぐ行きそうになる場所です。地図あるあるの展開です。重要な間違えやすいポイントです。写真の尾根をまっすぐ行くと2802m標高点を経由して広河原に通じる「嶺朋ルート」です。山梨県の山岳会の名前が付いた嶺朋ルートの詳細はわかりませんが、簡単ではないルートのようです。


池山御池小屋の内部


素晴らしいロケーションの池山御池。沢の流れ込みがないので池の水が使えるかどうかは微妙です。浄水器を持っていれば何とかなるかも知れません。


あるき沢橋への登山道は整備の手が入ったばかりの様でした。真新しい倒木の切り口から感じました。

あるき沢橋への激坂が始まる前の平坦な森の中では可憐な花が見れました。写真はコイチヨウランです。小さいのでピントが合わなくて大変でしたが、たくさん咲いていました。


こちらも小さきピントが合わなくて大変だったアリドオシラン。苔むした森に清楚な白の点々が見られました。感覚的に花の大きさは米粒です。


あるき沢橋のバス停で待っていると土砂降りの雨。橋の下で雨宿りでした。

秋田焼山

 いろんな山行が続くのでブログ記事を書くのもままならない日々ですが、印象的な山行は自分の記録としても書き留めておきたいものです。秋田焼山に登ったのは今月の初め、去年登ろうとしたときはクマ騒動で萎えてしまった山でした。今回の山行自体は、新玉川温泉に前泊、秋田焼山を縦走して後生掛温泉に泊まり、最終日は八幡平まで歩くというものでした。ある意味温泉堪能山行のような贅沢な山行でした。


「北投石」ラジウムを含む鉱石だそうで、台湾の北投温泉と玉川温泉で発見されたそうです。北投石から放出される微量の放射線により、疲労回復や新陳代謝の促進、免疫力向上などの効果が期待できるとされています。周りの平で行われる岩盤浴。


「大噴おおぶけ」と呼ばれる源泉は98℃。日本一と言われる酸性のお湯でpH1.2です。


自然観察路として整備された路。


玉川温泉という去年書いた記事で「たくさんあったコアカミゴケという地衣類。」と書きましたが、どうも違っていてイオウゴケが正しいようです。今年もたくさん確認できました。コアカミゴケも、イオウゴケもモンローリップと言われるマリリンモンローのくちびるです。


自然観察路で見える噴気孔の様子を動画でとりました。


秋田焼山の登山はその自然観察路から始まります。


ゆるやかなブナの森で見かけた実生のブナの子供たち。


オクエゾサイシンの花。


森を抜け、やがて見えてきた名残峠。右奥に秋田焼山の山頂があります。


ネマガリタケに囲まれた秋田焼山の山頂。雲が多めだったこの日は残念ながら眺望はありませんでした。


イワカガミは終わっていましたがイソツツジは見ごろでした。イソツツジは強酸性土壌でもたくましく育ちます。


手毬のようなかわいい花。


秋田焼山火口湖の湯沼。奥の方には遠くから見てもわかるくらい噴気孔がボコボコしていました。


焼山避難小屋


内部はとてもきれいでした。


鬼ヶ城(おにがしろ)と呼ばれる溶岩ドームの端っこまで行ってみました。手前は空沼です。


たくさん見られたアカミノイヌツゲ。白いかわいい花でした。


割と長い樹林帯を延々下って後生掛温泉に着きました。秋田焼山から後生掛温泉への徒歩道は、温泉あたりがとても分かりにくいものでした。


後生掛温泉奥の大湯沼を散策。後生掛温泉の名前の由来と言われる「オナメ・モトメ」の解説を読み、秋田駒ケ岳の男女岳(オナメたけ)を思い出したりしました。意味は妾です。なのでモトメは本妻です。


マッドポッドと呼ばれる泥湯。これを地球のゲップと表現した僕でした。


整備された遊歩道はだいぶ時間が経っていて、マッドポッドが広がったためか奥には行けませんでした。大湯沼の景色です。


なんかとても贅沢な山旅でした。