2025年10月9日木曜日

焼岳

北アルプスの百名山、焼岳に登った山行です。前日に上高地入りして日本山岳ガイド協会のアルプス山荘に泊まった翌朝の梓川です。今にも雨が降りそうな朝。


時折青空ものぞかせた空は疑似晴天。登山道のわきにはたくさんのキノコ。ジコボウと言われるハナイグチです。

上高地から焼岳へのルートは、焼岳からの峠沢という沢の右岸を進みます。その中間点くらいの笹藪の向こうからクマが突進してきました。笹藪を進んでくる勢いと、ちらっと見えた黒い体毛がクマだ!となり、胸に装着したベアスプレーのストッパーを外して身構えたら180度ひるがえって離れて行ったクマでした。かのクマは風上からやって来たので、気づかなかったのだと思います。最近、山に限らず様々な場所でクマの出没が問題視されています。僕らガイドができる対策の最終手段はベアスプレーか、と思い持参した今回でした。

ハシゴ場の始まり。

樹林帯を抜けて見下ろす大正池。


ハシゴ場の最後は2段のアルミのハシゴ。

上から見下ろした最後のハシゴ。

 新中尾峠の手前で本格的な雨になりました。焼岳小屋では雨宿りさせてもらえず…


それでも情報提供はしたので、これらの情報に加えられた峠沢横のクマとの遭遇。


中尾峠。中尾は奥飛騨の地名です。

 
モンローリップのイオウゴケ。


焼岳北峰。雨とガスで何も見えなかったのですが、風が弱かったのは救いでした。三角点のある南峰には登攀禁止で行けません。



山頂部の溶岩ドームはガスった中でも迫力があります。加えて周辺には水蒸気の吹き出し口がたくさんあり、たくさんの場所で温かい空気に触れられます。


中の湯ルートで下りましたが、全く予想もしていなかったのに素晴らしいナナカマドの紅葉に出会うことが出来ました。



笹のミドリとナナカマドの赤、あとは青空があればと思いますが、雨はやむことなく降り続けました。


その結果、川になった登山道には大きな水たまりも。



もう少しで中の湯登山口に着くという登山道で見た古い車。今は安房トンネルで飛騨に抜けるわけですが、トンネルが出来る前、この場所の50mくらい上に通る安房峠道路のカーブから落ちた車の残骸です。


お客様の希望もありこの日は中の湯に泊まりました。



何もかもずぶ濡れなのでありがたかった最強乾燥室。



夕食



ちょうど僕の誕生日で、なんとサプライズで祝っていただきました。ケーキとオリジナルの手ぬぐいです。とてもとてもうれしいサプライズでした。これからもよろしくお願いします。



晴れた朝、中の湯のロビーからは明神岳、前穂高岳から吊り尾根、奥穂高岳が見えました。

2025年10月3日金曜日

美ヶ原 百曲り

この時期限定の美ヶ原松茸ツアーでした。なかなかいろいろ段取りが大変で、山に登る前に疲れてしまっていた自分が情けなかった...出発は三城牧場のいこいの広場。トイレの下にこんな広い駐車場があったと初めて知りました。


今回は美ヶ原の歴史を考えても、絶対メインルートであったろう百曲りルート。三城から歩き始め、はじめは沢地形の道を歩きます。小さな沢に架かった橋を見るにつけ美ヶ原の玄関から入っているという感覚になりました。

広小場の広場。ここで百曲りと茶臼山に行く道が分かれます。

ちょっとだけ味見をさせてもらった山ブドウ

三城から美ヶ原の山頂台地にはそんなに時間がかかりません。ガイドの悲しい性か、今まではいちにち目いっぱい行動したいと、遠回りして山頂台地に行っていました。しかし、山頂台地で草を食む牛たちはどこを通って山頂台地に行くのか?と考えた時、正しく百曲りでしょ!と始めて歩いた百曲りのルートでした。年2回数百頭の牛が春に登り秋に下るということをするルートはとても歩きやすいはずだと想像していました。その通りの道を歩くことが楽しくて仕方ない自分でした。


山頂台地の縁。


牧草地の牛。

美ヶ原のシンボル、美しの塔。このモニュメントに掲げられている尾崎喜八の詩、「美ヶ原  登りついて不意に開けた眼前の風景にしばらくは、世界の天井が抜けたかと思う...」百曲りのルートはそれを実感できるルートだと思います。


山本小屋のこの時期限定のメニューを味わうために三城から登ってきた山頂台地です。主役は松茸!まずはすき焼きです。


松茸の香り食感を深く味わえる土瓶蒸し。


なめらかな茶碗蒸し。


松茸の天ぷらはお塩で。


しめの松茸ご飯の迫力!


翌朝の山頂台地。


ぐるり360度の景観を楽しんだ2日目の朝、宿を後にしアルプス展望コースを取り北アルプスに近づきながら歩きました。


なんとなくお気に入りの写真をいただきました。王が鼻にて。


2日間の仕上げは桜清水茶屋の新蕎麦御前のお昼。


栗ご飯


天ぷら、アケビの皮とふきのとうと天然キノコの天ぷら。


教えていただいた名前は信州の方言だったので忘れてしまいましたが、一般的にはカラカサタケと言われているキノコです。


メインはお蕎麦


僕が大好きなキノコ汁!


今年もきれいなアケビが飾られていました。

2025年9月29日月曜日

五郎山

五郎山、千曲川の源流長野県川上村にある山です。奥秩父の主稜線の金峰山から甲武信岳の北側は千曲川の源流です。その主稜線から何本かの尾根が北に延びています。そのどこかに登って主稜線を眺めてみたいということで登った五郎山です。登山口は町田市の宿泊施設「町田市自然休暇村」の奥です。


町田市の施設の水源の林道をしばらく登り、写真の青い表示板を左に入りました。「関東山地 カモシカ○○○○ 文化庁」と書かれていました。

途中の炭焼き窯跡。

ナギナタコウジュ(長刀香需)。ピンボケですが、小さな薄紫の花が片側に並んで咲く様子がなぎなたで、香需は薬草としての漢方の名前みたいです。乾燥させたものを煮出すそうです。 

古い林道を登って行くと登山口の案内。だいぶ古いものです。道は地形図の徒歩道の通りでした。

登山口から小さな尾根を稜線目指します。すごい急斜面を登りました。300mの標高差。

コメツガの森になると稜線は近いのですが岩稜になります。何か所かトラロープが登場します。

山頂部の稜線は3つのピークに分かれていて、いちばん西のピークがマキヨセの頭。国師ヶ岳や金峰山は雲の中でしたが、大弛峠や大日岩、長峰なんかが確認できました。

こんな感じの岩尾根です。


直線で重なっているのでわかりにくいのですが、マキヨセの頭からみた五郎山山頂と手前のピーク。

最後のピークから見た五郎山。すごい迫力でした。ルートは岩壁の下を右上して、南に回り込んで付いていました。

ルートを示すピンクテープは的確で、過剰につけられていないのは好感が持てました。真ん中のピークからも良く見えたピンクテープ。

五郎山2131.9m山頂。

多く見られたゴヨウマツ(五葉松)。生物学の分類階級のマツ科マツ属は7種類あって、日本産は葉が2本のアカマツ、クロマツ、リュウキュウマツの3種類。葉が5本のゴヨウマツ、チョウセンゴヨウ、ハイマツ、ヤクタネゴヨウの4種類だそうです。写真はゴヨウマツ。「マツ」という名前の種類はないし、ハイマツがゴヨウマツの仲間だなんて知りませんでした。


こちらはチョウセンゴヨウ。ゴヨウマツより葉っぱが倍くらい長いです。


チョウセンゴヨウの松ぼっくりが落ちていました。結構大きな松ぼっくりで、写真に見られるような茶色の堅い殻のカプセルがびっしり。カプセルを割って出てくるのが中華料理やおつまみの「松の実」です。


下山後、五郎山という名前に何かいわれがあるのか?ということで、川上村文化センターに寄りました。音楽ホールや歴史資料が展示され、図書館もここでした。


川上村史などを見てみたけどわかりませんでした。「ゴーロ」とい岩がゴロゴロしている場所っていう所からの五郎山なんですかね~。写真は文化センターの駐車場から見えた五郎山です。