2023年8月31日木曜日

越百山

中央アルプスの主稜線に登るのは両側のすなわち、伊奈谷と木曽谷ということになるのですが、乱暴だけど2つの谷を比較してざっくり厳しい木曽谷側で、優しい伊那谷側というイメージです。それはきっとロープウェイの存在かなとも思います。
数年前の土砂災害でアプローチが長くなった伊奈川ダムの林道の駐車スペースは約10台可能な駐車スペースでした。

駐車スペースから100mくらいで登場するゲートは初めて見る登山者に配慮した形状でした。右側を簡単に通過出来ます。その後の急坂とトンネルは問題にはならないくらいです。

木曽谷に流れる伊奈川の伊奈川ダム。

約1時間の林道歩きで登山口です。

尾根に取り付いてしばらくして次々に登場したのは木曽ヒノキの天然木。

ひどく崩れた登山道の段差。尾根の上部はこんな感じの凄まじい段差がどんどん登場する厳しい登山道です。

七合目といわれる平にあるサイン。

水場は生きています。越百小屋の小屋番さんの話だと40年この山で活動しているけど涸れたことがない水場という話でした。

一日15人しか泊まれない越百小屋です。小さなかわいい小屋だと思いました。

小屋番さんと言葉を交わし、こだわりのコーヒーをいただきました。

夕食まで時間があったのでまったりしていると、小屋の横のわずか10mほどのところに黒い影。なんとツキノワグマがクロマメノキの実を貪るように食べていました。こんなに至近距離でツキノワグマに会うなんてなかなか貴重な体験です。至近距離でも危険を感じなかったのは、クマがクロマメノキに集中している様子がわかったからでした。小屋の食糧狙いなら全く違った展開になっていたでしょう。基本は彼らの方が先住民で、僕らはそこにお邪魔しているという感覚でしょうか。

小屋にツキノワグマが近づかないよう小屋周辺のクロマメノキの実を摘みました。

なんかカッコよかった小屋のサイン

小屋から見える南駒ケ岳。

越百小屋の夕食。

 翌日は越百山のピストン。山頂から小屋番さんおすすめの南越百山に至る登山道。一般登山道と表記されていますが、道はありますがほぼやぶ漕ぎという印象の登山道です。


南越百山の山頂です。


越百山に戻りました。

まあるい越百山と北にある仙厓嶺と南駒ケ岳。越百山、日本百名山を達成した人が、百を越える山ということで訪れる山だそうです。初めて知りました。ご一緒した方は数年前に百名山達成の凄い方です。なんで越百山にこだわるのかということが理解出来ました。越百山自体は百名山には関係なく、木曽谷の須原集落からこのピークに登るのに百を越えるピークを辿るという意味らしいのですが。


越百小屋に戻ったら忙しそうに寝具を干していた小屋番さん。


同じルートを下りながら、やはり厳しい登山道だと思いました。段差が凄まじいんです。


花崗岩に覆われている中央アルプスなので、周辺の河原の石はとても白かった。それは寝覚の床も含め、本流の木曾川もイメージは真っ白です。


表銀座

8月も最終日です。いろいろ山ばかりの日々なのですがブログを書いている暇がないというのが本音です。なのですが、印象的だった山行の記録を書き残しておきたいものです。
槍ヶ岳に登りたいというご希望をだいぶ前に頂いていました。どうせ行くなら表銀座を歩いてみたいとなり出掛けた今月初め。何回かの準備山行を経て本番が今月。早朝の中房温泉からスタートです。

合戦尾根の合戦小屋では約束のスイカ、しっかりごちそうになりました。名物のスイカは松本の波田地区でとれたものです。

燕岳といえばイルカ岩。しっかり目的のピークの槍ヶ岳がいます。


コマクサは終盤でしたが素晴らしかった。気になったのは登山者のマナーでした。ロープが張られているところはルールを守るのだけど、ロープが張られていないところは無法地帯。足元のコマクサは無視して好き勝手に歩き回っている感じでした。

北燕岳まで行って戻って撮った燕岳のお気に入りのモニュメント。この写真を撮るまでが大変でした。

登山口からずっと大声で騒ぎまくっていた台湾からの登山者。燕岳山頂を独占していてとても長く待たされました。日本の山はもはやいろんなところでオーバーユースですね。期間限定で人気の山、エリアは様々な問題が噴出するんだろうな?と感じた燕岳山頂でした。今夏様々な問題が噴出している富士山だけの問題ではありません。ほんと狭いフィールドに人だらけってエリアがあふれてる、根本的に人が多すぎるという問題。

前日、安曇野のスーパーで買った円揚げ(つぶらあげ)。ニジマスを背開きにしてまあるく揚げた揚げ物です。安曇野のきれいな湧水で育ったニジマスを学校の給食で出したのが始まりみたいです。メニューを考えた栄養士さんに座布団!ですね。

翌朝の縦走路ではこんな踏み跡だらけでした。ロープの柵がないと無法地帯です。ロープがあろうがなかろうがその一歩の踏み跡が実生のコマクサを殺してしまう、そんなことは理解してほしいですね。歩いて良いのは登山道の幅だけですから。

大天井岳の登りが始まる岩に設置されている小林喜作のレリーフ。詳しいバックボーンはわかりませんが、大天井岳から東鎌尾根を通過して槍ヶ岳の至るルートは喜作新道と呼ばれ、明治の山案内人の小林喜作が開いたルートということです。

大天井岳から槍ヶ岳。ジグザグした喜作新道の尾根が見えます。

大天井岳の山頂の三角点柱石はむき出し。

大天荘から西の大天井ヒュッテに下るトラバース気味の登山道はかなり険しい登山道です。

大天井ヒュッテ。ここから喜作新道が延々と続きます。侮れない登山道です。

立派に聳え立つ赤岩岳。山頂は通らない喜作新道上のピークです。

お世話になったヒュッテ西岳。北アルプスの小屋の中では珍しい南アルプスにある小屋みたいな感じの小屋でした。

夕方には見事な虹が出現しました。虹に囲まれているのは常念岳です。

翌朝早い時間の目指す槍ヶ岳と月。

喜作新道の核心に進む朝。

ムチャクチャ整備されている喜作新道です。


この稜線から間近に見える北鎌尾根。この日も遭難のニュースが流れていました。

ヒュッテ大槍と槍ヶ岳。

小屋に荷物を預けて槍ヶ岳ピストンだったのですが、出発時間に邪魔された小屋の荷揚げ。ヘリが来れば外に出られません。

東鎌尾根の核心部。

槍ヶ岳の穂先に登る前に槍ヶ岳山荘で一服でした。


穂先に取り付けば一気に攻めます。その方がバランスが良いと思います。一気です。


最後の梯子。


槍ヶ岳山頂の三角点柱石


食べきれなかったヒュッテ大槍の夕食。槍ヶ岳の登った後なので貴重な成功体験の夜でした。誕生日パーティーのような。


3泊4日の朝は大天井岳のシルエットから始まりました。上高地までの道のりはほぼ修行です。


槍ケ岳を開いた播隆上人に敬意という意味で岩小屋にしっかり寄りました。


槍沢を下って上高地を目指しました。下るにつれ間もなく見えなくなる主役の槍ヶ岳。


河童橋


日本山岳ガイド協会が運営しているアルプス山荘でひとっぷろ浴びて3泊4日の山行は終わりました。お疲れ様でした。