2023年11月30日木曜日

ショートロープ研修

所属する静岡山岳自然ガイド協会の研修でした。ショートロープというのは、 危険個所でガイドがお客さんをロープでつなぎ、滑落や転落を防ぐためのロープワークです。甲府の昇仙峡の奥、黒平での研修でした。移動中の車窓から昇仙峡の景色。


2日間にわたって行われた研修でした。宿泊はマウントピア黒平。管理人の藤原さん、お世話になりました。


マウントピア黒平のコテージ。キッチン、トイレ付きの二間で一棟5人泊りで10,000円とtax。食事はセルフになる宿泊です。炊飯器やナベ、フライパンは常備されていて、食材の買い出しをして一日目の午後に合流した僕でした。10人くらいの食材の買い出しってなかなか慣れないので難しいと思いました。参加者にお米を作っている会員もいて、新米を持って来てくれたのは感謝です。


2日目担当の僕でした。ショートロープってかなり高度なロープワークですが、基本確保術なので、ロープを使った確保ってという基本のおさらいから入りました。


究極のボディビレーの肩がらみ。理屈じゃなく実際にどのくらいの負荷がかかるか?ということを認識しているということはとても大事だと思っています。マウントピア黒平施設周辺の急斜面でいろんなビレーの確認をした午前中。


お昼の後に向かった燕岩岩脈。登山道はないので地図読みが必要になります。どこから取付くのか燕岩岩脈ということです。尾根地形の燕岩岩脈でリアルなショートロープの実践です。


ガイドが二人一組で、お客さん役とガイド役に分かれてのショートロープの実践。


行動の流れがとても大事です。厳しいところは確実に確保して、そうでもないところは行動を止めないでスムースな行動をするというのが理想です。加えて行動しながら万が一のアクシデント(転落)で確実にロープで止める、というショートロープです。


松の木の山頂の1275m標高点。


冬が始まって展望がきく日々が始まりました。金峰山が近いです。


僕の大好きなみみ石のピーク。


1275m標高点手前のコル。ここでも読図でマウントピア黒平に下りました。


2日間の研修が終わり車を走らせ帰宅ですが、夕陽に照らされた燕岩岩脈が見えました。この稜線で行われたショートロープ研修でした。

2023年11月24日金曜日

雨畑川

 雨畑川の踏査っていうかなり珍しいリクエストが来ました。下の地図の赤線の尾根を下り、青線を登って大笹峠までの山行。山伏へ最短のアプローチ、百畳峠に初めて行きました。


大井川と安倍川の間の長大な尾根の上、延々と伸びる林道勘行峰線の終点の百畳峠です。
遠い…… 率直な感想です。中部横断道が出来て静岡市内には1時間半で行けるようになったとはいえ、そこからさらに2時間。林道は12月1日から冬季閉鎖です。


暖かいとはいえ2000mの稜線です。ぬた場が氷っていました。


山伏山頂、山梨百名山です。とはいえやはり静岡の山かなぁ~


大谷嶺と大谷くずれ。標高2000mということで当時は賑わった山頂、早川側では行田山と言っていました。林道井川雨畑線から登山道も整備されていました。


新窪乗越。静岡側、梅ヶ島新田からの登山道が登ってきています。新窪乗越横のピークから北に延びる尾根が目的でした。乗越からよく見ると何となくの道形に思えたものを進みました。ケモノ道だったかも知れません。


新窪乗越の標高がだいたい1850mです。雨畑川流域の急傾斜なクズレだらけの斜面の中で、比較的暖傾斜の尾根が1500m圏内まで続いている尾根。意味不明のピンクテープなどがありました。


雨畑川流域の山は崩壊地だらけです。下った尾根の西は雨畑川の支流、矢岳沢ですがその崩壊地の縁を下りました。広い尾根の判断材料になった崩壊地のはじまりでした。


1550m圏内に入るとアセビを漕ぐようになりまいりました。


赤線はトレースしたラインです。その西側の等高線の表現はかなり珍しいもので、この場所も踏査の対象でした。青い線は地形図上で考えられる沢地形です。ピンクのサークルの上に沢地形が標高差100m以上あります。こういう地形はかなり特徴があり水の流れがあればピンクサークルに水のたまりの池があるかも知れないと思って検証しました。


ただのフラットな地形で水のたまりはなかった現場でした。


そのまま尾根を下り行田橋という吊橋に着きました。この橋は雨畑の最終集落の長畑の先の左岸の尾根から下るといける橋です。今でも使える立派な橋の意味は、昭和30年代まで山仕事で右岸の山に行き山仕事に入るためのものだと思っていて、橋の先には立派な道形が残っているというイメージでしたが期待は裏切られた結果で、ひどい尾根道でした。


懸垂下降で雨畑川に下りた先のプチゴルジュ。浅瀬で通過に問題はありませんでした。もちろんこの段階で沢登り装備にチェンジしています。


雨畑川の様子。


その先は手も足も出ない感じのツルツルの壁と流れの段差と瀬でした。敗退です。瀬を泳ぐかどちらかの壁に人工登攀のニ択で通過って感じでした。


仕方ないのでこの斜面を登って林道にエスケープしました。県道井川雨畑線です。


大笹峠に向けて林道の修復をするのでしょうか?最終集落の長畑の先で行われていた林道の法面のコンクリートの吹き付けです。


その先の林道の様子。


林道を雨畑川枝沢の西河内まで進んで西河内右岸にテントを張りました。さすがにこの時期結露は免れない気温の高低差でした。


と言ってもこの楽しみは外せません。焚き火です。最近は焚き火台を使うので完全燃焼で消炭は生まれません。


翌朝の雨畑川の遡行は10数個の堰堤の通過となりました。


本谷橋から高度を稼ぐ井川雨畑線です。この橋を使って上流の堰堤群を上手くかわせたの嬉しかった。


さすがに流れが細くなった雨畑川本流でしたが、ちょっと厳しい滝も登場しました。この滝は右岸側をロープ確保しながら突破しました。


最後の二俣。右のほうが流域面積が広いので水量は3:1くらいで、大笹峠に向かう左の水量の少ない方に入りました。


標高1500m圏内で水が終わった沢筋の様子。


この写真の一番低いところが大笹峠です。最後の登りのきついこと!


大笹峠です。


大笹峠から山伏への登り返しはとてもハードです。急傾斜とルーズなことが厳しいです。


山伏からは南アルプスのジャイアントがそろい踏みでした。素晴らしい展望ということです。


そしてマウント富士!


1泊2日でぐるっと回って帰り着いた百畳峠です。


帰りに寄ったリバウェル井川というスキー場。日帰りで雪遊びをする施設でしょう。なぜなら宿泊施設はありません。静岡市内から2時間のスキー場の存在が不思議でした。


途中で井川の本村が見えました。井川ダムのダム湖もしっかり見えました。


かわった山行のシメは白鳥食堂の静岡おでん。


2023年11月15日水曜日

男女倉越

美ケ原も霧ケ峰も日本百名山ということで認知されています。どちらも昭和の時代に車道が出来てビミョーな山ではありますが、車道を無視してとらえると素晴らしい山なんだと思います。霧ケ峰を楽しむために、地理院地図に登場する男女倉越ってどうなんだろうと出かけてみました。今週の冬山が始まった直前の山行でした。下の地形図の黄色がヤマレコのトレース、赤が今回歩いたルートで反時計回りに回りました。

長野県道155号線 男女倉長門線、和田峠の長和町側の元の料金所があったところからの県道を進んで、初めの大きなカーブから歩き始めました。男女倉沢川のブドウ沢に入ったということになります。

ブドウ沢は黒曜石の遺跡があったという、男女倉遺跡があった場所です。ブドウ沢の入り口にあった目黒区自然の村という施設の跡を進みました。

ブドウ沢に入ってしばらくはこんな感じの林道でした。

はじめの地形図の黄色のトレースの目印のピンクテープ。男女倉沢川上流のブドウ沢の西の尾根に続く道のピンクテープです。

地理院地図に書かれた男女倉越のトレース通りに登りました。カラマツの植林地のオシダ、わかいころに鹿に食われた痕跡。先端がありません。

植林のカラマツ林とオシダだらけの森。地形図の男女倉越の徒歩道は存在していませんでした。男女倉越という古道があるかもって思っていましたが存在しませんでした。

稜線に出ての景色です。

主稜線に登って見えた八島ヶ原湿原のたいら。

1776m標高点の男女倉山はゼブラ山と表記されていました。

北の耳と言われる1829m標高点の西の1790m圏のピークから北へ向かいました。踝の上くらいの笹の濃さ。広い尾根にはピンクテープが結ばれていました。

振り返って真ん中が鷲ヶ峰、左のこんもりしたピークが男女倉山です。

広い尾根状には何となくの道が縦横無尽にありました。

ヒカゲノカズラはシダ類なのかな?カラマツ林の中にたくさんあって、時期なのか胞子が煙たいくらい飛んでいました。

四等三角点「大萱野」1498.9mの柱石。それこそ萱の枯野の中で探してやっと見つけた三角点でした。

なんとも不思議な場所で、奥の山は鷲ヶ峰なんだと思いますが、広い尾根上に電線でした。

関東に送電している主要送電網の安曇幹線1号。発電は梓川の水力発電です。

鷲ヶ峰と左に男女倉山。

県道155号 男女倉長門線に下った最後。

空振りだった男女倉越、古道が残っていなかった残念な結果でしたがトライ&エラーです。帰りの富士山が慰めてくれたような気がしました。