2023年5月31日水曜日

富士山の原生林

アラウンド富士山の2日目は、荒涼とした景色から一変した原生林を歩きました。富士宮口のベースになる水ヶ塚駐車場からスタート。須山口登山道の一合目です。須山口登山道は須山浅間神社を起点に水ヶ塚を通り富士宮口六合目に合流するルートです。平安時代に開かれたルートと言われいます。江戸時代には年5,000人の登山者だったという記録もあるようですが、宝永山の噴火で登山道は無くなってしまったという登山道です。現在は復活されていて、水ヶ塚から宝永第三火口の御殿庭なんかを通って富士宮口六合目に通じています。


複数のルートが整備されています。写真でもわかるような原生林です。

木々の緑がみずみずしい森でした。雨予報であった日でしたが予報は外れました。


キンポウゲ科のシロカネソウ。突き詰めれば難しい名前だと思います。シロガネソウと濁音の表記もあります。漢字では白銀草も白金草という表記もあります。仲間もいっぱいいてどれがどうというのは専門家じゃないとわからないんじゃないかな~、紀伊半島から関東辺りまで見られるようですが、僕なんかはフジノシロカネでもいいような気がします。白ガネ~ゼなんて言ってました、ごめんなさい!


トウゴクミツバツツジもたくさん咲いていました。

ヤマシャクヤク

マムシグサ。サトイモ科テンナンショウ属の同定は課題です。妙に背が高かったマムシグサでした。

こいつはなかなかわからなくて苦労したやつ。イケマです。漢字で生馬です。ニョキニョキを折ってみると白い液がドバドバ出ますが有毒です。北海道にも生えていて、アイヌ語で太い根とか神の足とかの意味だそうです。アサギマダラの幼虫の食草で、イケマの毒を体に蓄えて鳥に食べられないようにしているアサギマダラの幼虫だそうです。


カラマツの松ぼっくりのほやほや。木の実、または松ぼっくりという感じがする初々しさ。

四辻周辺。カラマツのたくましさが引き立ちます。

フジノハタザオの大きな株がありました。

幕岩

ゆったりした登山道を歩いて水ヶ塚に向かいました。この辺りにはブナの巨木が多いです。実生のブナの赤ちゃんにもたくさん会いました。

富士宮の富士登山ベースの水ヶ塚駐車場。

下山後の温泉に御胎内温泉に寄ったのですが、そこは大きな富士山樹空の森という公園でした。ビジターセンターもあったりして大きな施設でした。


その一角にあった火山としての富士山。丸尾溶岩樹形や堀金北溶岩樹形があり、中には入れないものの富士山の火山の痕跡が示されていました。「丸火、丸尾、まるび」は富士山の新しい溶岩流のうち中腹から噴出して流れ下った側火山を指します。 その流れごとに「まるび」の名前が付いています。 山梨県だと、剣丸尾、桧丸尾、土丸尾、山中湖村の鷹丸尾、鳴沢村の前丸尾、などで、言葉としては静岡側も同じなわけです。


御殿場から東富士五湖道路はガスガスでした。

富士山まぼろしの滝

富士山須走口のまぼろしの滝に行きました。ほぼ観光地なわけですが、なんとか火山としての富士山のダイナミックな景色に触れていただきたいという山行でした。写真は須走口五合目です。

この看板が外されるのは7月10日です。


小富士は100個以上あると言われる富士山の側火山のひとつ。まぼろしの滝上部の融雪が進むことを期待しながら寄り道しました。

シラビソとカラマツの樹林を抜けると大展望が広がります。


国土交通省富士川砂防事務所の資料によれば、御中道(2300m~2700mくらいのアラウンド富士山)が通っている標高で27本の沢があり、それぞれ名前が付けられています。確定したものではなく時代によって表現が多少違いますが、まぼろしの滝がある沢は成就ヶ沢で、別名"不浄流し"だそうです。

マグマの飛沫が固まった火山噴出物のスコリアに覆われている富士山は、雨や雪解け水は全て地中に浸み込んでしまいます。地中に浸み込んだ水は時間をかけて忍野八海や柿田川湧水に湧き出るわけです。ここは噴出したマグマが溶岩流として流れ下って固まったものなので水が流れるそうです。窪みの水たまりが流れの痕跡で、この日は条件が整わず正しくまぼろしだったまぼろしの滝でした。

地元の方が去年の水が流れる動画を見せてくれました。この日は気温は高かったものの、午前中曇りがちだったので条件がイマイチだということでした。午後には晴れたので残念でした。

観光地巡りではなく登山にするために御殿場口五合目に下りました。正面の小さなとんがりは2051m標高点です。

この荒涼とした景色も富士山の魅力だと思います。みどりの部分は東富士演習場。前日「富士総合火力演習」という年に一度の大規模な実弾演習が行われたということでした。お昼過ぎに驚いた大きな爆発音は、昨日の不発弾を集めて処理した音だそうです。

グランドワゴニアと呼ばれる放置されたステーションワゴン。Googleマップにものっています。アメリカのJee社のグランドワゴニアという車種の車。

二ツ塚を見ながらどんどん下りました。

健気に咲くフジノハタザオ

御殿場の登山ルートに合流

大石茶屋は半分砂に埋まっているようでした。

このバリアも外されるのは7月10日でしょう。静岡県の山開きは7月10日です。ちなみに山梨側は7月1日です。なぜ違うのかはわかりません。

御殿場口五合目の鳥居

2023年5月27日土曜日

大渚山

去年に続いて今年も雪国の春先の山に行ってきました。標高は低いものの太平洋側とは全く違う花や木々で面白いんです。都内からのお客さんは新幹線。新幹線という乗り物の凄さを実感です。糸魚川の駅とヒスイの原石。


糸魚川駅からまっすぐ日本海に向かって登場する奴奈川姫(ぬなかわひめ)の像。
『糸魚川市は越の国の姫であった「奴奈川姫」のふるさとです。「古事記」にも登場する「奴奈川姫」はヒスイを使って越の国を統治していた強く賢く美しい女性だったと伝えられており、出雲の国の大国主命と結ばれ、諏訪の建御名方命を産んだ母神と伝わっています。』   ホテル國冨翆泉閣HPより


糸魚川市根知の白池下のキャンプ場の幕営。車で移動後、寝床の設営をして歩きました。


天気がイマイチで大網峠周辺を散策しました。小雨の中、きれいなサンカヨウに出会えました。


ピンボケですが、ランの仲間のエビネのサルメンエビネ。数株咲いていた初めて出会った花。


夕食は山菜の天ぷらが主役。


寝床に戻って火を起こしてまずは一杯はビールです。





糸魚川白池下のキャンプ場から、長野県小谷村に移動して鎌池です。


今月2回行った佐渡が懐かしいって感じのシラネアオイが咲いていた駐車場わき。


鎌池から大渚山(おおなぎやま)を目指しました。車道、林道ですが大渚山登山口の湯峠まで車道歩きです。そのリンドウのことは小谷村の問合せしました。雪の除雪はしないで自然に融けるのを待つのだそうです。きっとタイムスケジュールは決まっていて、毎年のルーティンで通行を決めているのだと思いました。林道わきのブナの巨木の存在感が半端なかったです。


林道を進んで見えた大渚山の雄姿。


山梨では見られないムラサキヤシオの花。


自信はないけどクロサンショウウオだと思います。雪解けの水たまりに卵とともにたくさんいました。


湯峠から尾根に取り付いて登場した、たくさんのツバメオモトの花。


なかなかエキサイティングな尾根の残雪。奥の山は妙高山とか天狗原山、金山なんかです。


大渚山自体は湯峠からのピストンだとすれば難しい山ではありません。写真のガレが迫力なんですが、登山道は組み替えられていて問題なく通れます。雨飾山が大きく見えてました。


山頂は長い頂稜の西端にあり、2階の展望台と1階の避難小屋という構成でした。この展望台からは北アルプス北部の山々、白馬岳を中心に妙高や黒姫山方面、うっとりするような展望だったのです。


山頂の三角点。


長い頂稜の雪渓の上にたくさんのウサギさんのうんち。


こういう様子でした。ルートファインディングに地図読みは必要ないです。どこを通ればいいかは人の痕跡を見つけるということです。


長い頂稜部で一番高い東峰にあった明治の林野庁の三角点柱石。


東峰直下の鮮やかなイワカガミのピンク。


山行が終わって国道148号線から見えた糸魚川のアルプスと表現しても良いと思う山並み。国道の左右にある山高帽のようなピークにハッとしました。右が戸倉山、左が大渚山です。糸魚川から姫川の沿いの国道走り始めてすぐに両方の山に会えます。大渚山、おすすめです。良い山でした!しつこいようですが、右が戸倉山、左が大渚山です。