2022年11月23日水曜日

芦川横沢

先月の下旬に差し掛かる頃の沢登りの記事です。山梨県の国中(くになか、甲府盆地)と郡内(ぐんない、富士北麓)を分ける東西に延びる御坂山地、その御坂山地の北稜線と南稜線の間の富士川の支流の芦川の横沢。


県道36号笛吹市川三郷線から入ってすぐにナメ滝です。この沢はアプローチゼロ的な取付き易い沢で、しかも本格的なゴルジュが登場する奮闘的な沢です。
所属する静岡山岳自然ガイド協会の後輩が自主研修に付き合ってください‼というリクエストにお付き合いした山行でした。常にスキルアップを目指すという姿勢は歓迎です。


いくつも登場する滝。ほとんどの滝が登れるのでとてもトレーニングになります。


クライミングも同じですが、そこを登れるかどうかという前にビレーシステムを作れるということが問われます。出来ない人はトライもできません。ある程度の長さのクライミングになるとロープワークというか万が一に備えてのシステムを作れるかどうかということが問題になります。


ロープを伸ばして中間支点を作って万が一に備える。トップは登り切ったら後続者の安全を確保するためにどう確保支点を作るか、それが出来るかということが能力ということです。それはリアルな問題です。クライミング技術。


ロープの長さは決まってるし、持っている装備も限られている。手持ちの道具でどこまで安全性を確保できるかというクライミングです。


きれいなすだれ状の滝の中間支点は取れません。確保されていない状態で登りきる力がないとだめなんです。


そして登場するゴルジュ


8mチョックストーン(CS)の登攀はかなりテクニカルで力業が必要です。クライミンググレード、デシマルグレードで5.9を確実に登れなければだめです。しかもカムを確実にセッティングが出来ないと安全には登れません。


こんな完璧なゴルジュが県道から1時間ってことがすごいと思える横沢です。


不動滝。30メートルです。


もう寒いってことでずぶ濡れになる不動滝は巻いてエスケープ。


でも滝を巻くってのも滝を登ることとは別な難しさがあります。そういったところが沢登りのキビシイところで、しっかり取り組まないと非常に危険な登山形態です。


無事に不動滝の巻きが終わって上流の穏やかな流れ。


入渓点からこの橋までの標高差は300mありません。この橋の周りは石積みの耕作地がいくつもあり、旧芦川村高萩の人たちが時に水田、時に桑畑として耕作していた場所です。


傍らの馬頭観音


昔の思慕と未知の道形を下って県道に戻りました。歩きながらアケビをゲット。初めて食べるという彼の感想は普通でした。「ほのかに甘いですね。」

 

2022年11月7日月曜日

丁目石

七面山の山中の2本の巨木を見に行きたいというリクエスト。どちらも山梨県の天然記念物に指定されている巨木です。七面山敬慎院への北参道を登り、表参道を下った周回でした。登山口神通坊の「是より四十八丁」という案内。敬慎院まで48丁ということです。


七丁目の丁目石
丁や町はさまざまな単位として使われますが、この場合は距離の単位です。一丁または一町は約109mです。丁目石は、町目石、丁石、町石など呼び方は統一されていません。参道を登る参拝者のための1丁(町)間隔で設置された石などの目印が丁目石です。

杉並木が参道っぽいですが、四十八丁目までなので先は長いです。

八丁目の丁目石と登山道の様子

約100m毎に登場する丁目石の存在が普通の登山道とは違います。やはり敬慎院への参道。

十九丁目丁目安住坊の大トチノキ。巨木の下の坊は栃之木安住坊と呼ばれています。

「伝説によれば、この木は日蓮上人の高弟である日朗上人(1,243~1,320年)が手植えしたものだという。」と案内板には書かれているので、樹齢700年は優に超えている大トチノキ。

樹高は37m、幹囲7.5m、枝張りは東に15m、西に16m、南に15m、北に18m。外見からはわかりませんが、幹の中は空洞だそうです。

二十四丁目の丁目石。

旧雨畑参道(通行止め)手前で西側が開けたところにひと登り。右から稲又山、青薙山、イタドリ山、青枯山なんかが見えています。山梨と静岡の県境の稜線で尾根の向こうは井川です。

雄鹿が一心不乱に何かを食べていてどいてくれません。投石をしたらどいてくれました、渋々って感じに。

奥之院の影嚮ようごう石 と富士山。しめ縄を張った巨大な石は七面大明神が現れたという伝説が残り、石の周りを7度唱題しながら廻るとご利益があるといいます。

 七面山の大イチイ

「イチイ(アララギ)の大木。根の周囲には垣が施されています。その昔、木こりが伐り倒そうとして斧を入れたところ、血が流れ出したので、この木には神様が棲んでいるのではないかと伐採を中止したというのですが、その時からこの木は御神木と呼ばれるようになりました。」     七面山登詣HPより

樹高は23m、幹囲は6m、幹は2つに割れ、主幹は10mくらいまで空洞です。樹齢は1,000年をはるかに超えるといわれる老巨木です。

敬慎院の本社。東向きに富士山に向かって建てられていて、七面造りといわれる独特の様式です。


五十丁目の丁目石は表参道のもの。

随身門と霊峰富士。

表参道と紅葉


三十一丁目の丁目石。表参道の丁目石は灯篭でした。

わずかに咲いていたキッコウハグマの花

八丁目の灯篭の横の丁目石は元文年間のもの。(げんぶん:1736~1741年、八代将軍徳川吉宗の時代)。

表参道の鳥居。登山口です。七面山の巨木を訪ねた天高い秋の山行でした。