これぞシャワークライム、ですね!
沢登りは不確定要素が多すぎるので、経験の浅い人だけで行く前提だとしたら、おすすめ出来るルートはなかなかありません。沢は総合力が試されます。ム―ヴが悪い滝があったとしても、そこに至るアプローチで読図が出来なきゃ入渓も出来ないとか、滝と言っても20m以上のものもあれば、3mでも厳しいやつもある、草付きの巻きも、へつりも、シャワークライムもある・・・言葉だけのアドバイスは意味がない世界。それでも、パッと浮かんだのがこの沢でした。三ッ峠の北側にある四十八滝沢、昔は千段の滝沢と言っていたような・・・いずれにしても、滝がたくさんあるという意味で間違いないです。中央高速を使えば甲府から40~50分で登山口!全ての滝が登れます!
一応この沢は初級の沢ということになってます。沢のグレードは岩場(滝)の登攀内容とそのルートがどこにあるか?つまり山の奥深さ、エスケープルートの有無なんかが加味されていると思います。山と渓谷社から出ている「ヤマケイテクニカルブック4:沢登り」によれば、グレードの基準はこうです。
1級(初心者向き)
岩場でIII級のピッチをリードできる者や、沢に慣れたパーティーはロープ不要の場合が多い。
2級(中級者向き)
初級者のみでの入谷は控えたい。滝の直登にはロープを要する場合もある。高巻き技術も必要。
3級(中級者向き)
滝の直登には部分的にIV・V級のピッチも含む。ゴルジュの通過にも高度な技術を要する。
4級(上級者向き)
沢の中でビバークする長い谷で、高巻き道も不明瞭。遡行技術だけでなく雪渓の対処法など総合的な登山技術も必要。
5級(上級者向き)
日本の渓谷としては最高ランク。泳ぎ、徒渉、高巻きなどで失敗すれば命取り。年に10パーティーほどが遡行に成功している。
6級(篤志家向き)
昼なお暗く、井戸の底のようなゴルジュ帯が続く異様な世界。雨が降っても逃げ場はなし。完全遡行パーティーは極めて少ない。
この基準をこのブログに登場した数少ない沢のルートに当てはめると、・芦川横沢3級 ・小仙丈沢2級 ・四十八滝沢2級 となります。もう少し細かくいえば、・芦川横沢3級ノーマル ・小仙丈沢2級マイナス ・四十八滝沢2級ノーマル。もちろん天候次第というのもあります。
三つ峠の北口登山道というのでしょうか、桂川の支流大幡川の宝鉱山跡の‘宝の山ふれあいの里’が登山口です。登山道は始め四十八滝沢の右岸を登り、沢の中間点で左岸に渡って三つ峠を目指します。下の写真が沢を登山道が横切る地点です。
大滝 流水の右側を登ります。
水の流れを無視すれば、左から取りついて流水を横切り右に行く感じです。思い切り濡れるので暑い時は気持ちいいのですが・・・
大滝の上から見た写真です。セカンドとラストが登る準備をしています。
‘七福の滝’という名前の滝
バンドが左上してる感じ。水流の中を右下から左上に登ります。水流の中に入っている時はまるで溺れた感じで、息をするのも大変・・・
どんどん滝が出てきます。
枝沢が出てきても、とにかく水の流れを追って行けばいい沢です。
なんだかよくわからないと思いますが、これが沢の始まり。ここは面白くて、山の斜面から水がわき出ています。沢の始まり、源流です。
水の流れ出しが終わって、暗い樹林帯の急登をこなすと、三つ峠の開運山と御巣鷹山の間の登山道に出ます。下山は北口登山道を下ります。2時間くらいで車に戻れます。北口登山道、都留市の情報です。短いですが、厳しい登山道です。
実はこの時遭難者に出くわしました。
僕らが下山中、登山道が沢を横切るところに初老の男性が休んでいました。沢を横切るところのすぐ上が大滝なのですが、話を聞くと沢の南斜面を登ったり下ったりしてほとほと疲れている感じでした。
男性は電車とバスで入山し、北口登山道を登り始め、沢を渡るところで道迷い・・・下から登ると沢を左から右に渡ります。渡った先は右手に少し戻る感じなのですが、わかりにくいです。草も生えていて道標が見えなかったのかもしれません。
男性は登山道わきの四十八滝沢に入り、大滝を見て上には行けないと思って大滝手前左の枝沢のルンゼに入って進退きわまって藪をかき分け下山して元に戻ったところだったのだと思います。この日は曇りで、何日間か雨が降って沢自体は水量が多い感じでした。時間は午後2時くらい。沢を渡ったところの登山道の始まりの道標を教えてあげて、もう遅いし、あと一時間もかからないで車に戻れるから、最寄りの駅まで乗せて行きますから下山しましょう、と促して下りました。パーティーの残りの二人があとから下って来て同じように男性に会っていて、同じような声かけをして別れたのでした。僕らは車に戻り、てっきりこちらの提案に乗っかってくると思った男性が下山口に現れないので、しばらく待つことにしました。一時間以上待ちました。最後は登山道を戻って大声で呼びかけたりしました。男性とはそれっきりでした。
翌日の新聞にその男性と思われる遭難記事が載っていました。捜索が達磨石側の登山道で行われるという内容を見て、警察に電話をしました。情報提供です。登山届は出ていなかったようで、三つ峠に行ったらしいという曖昧な情報しか持っていなかった家族が警察に捜索願を出したのでした。なにも手掛かりがなければ表側から登ったと考えます。早速、都留警察署の警官が来まして、地図を広げて可能性を話し合いました。三つ峠の北口登山道周辺を捜索して、進展があったら連絡をくれるという約束をして別れましたが、何も連絡がなかったので遺体はいまだに見つかっていないのだと思います。僕らとすれ違った後、男性は登山道を登って行ったのだと思います。日が暮れるまでには稜線に出ていたでしょうから、その先はどうなったのか・・・
沢登は楽しいよ!という記事にしようと思ったら、遭難事故を思い出してしまいました・・・
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