2017年12月25日月曜日

八森山

安倍奥に向かう途中の富士川の川霧。国道52号線、昔の言い方だと河内路というのでしょう。早朝に通ることが多いのでこの川霧現象に出会う確率は高いです。お気に入りの記事


安倍川を北上。よく晴れた日、冬らしい青空。正面に見月山がほぼ見えてきました。この山の麓を左に峠越えをすると井川です。


一番高いのが八森山。1044mの三角点ピークです。真ん中の尾根を登った初日でした。


安倍奥本番でした。何が?ということですが、登山経験がない方と3泊4日のテント生活を安倍奥の八森山でするというものです。なんか不思議な文脈になっていますが、地質調査をするのだけれど、下から通うのは厳しいので山頂にテントを張って仕事をしたいというオーダー。水、食料、12月に標高約1000mで泊まれる装備、これを準備しなくてはならないというのは結構大変でした。僕も行ったことはない山だったので、地図の黄色い尾根を使えば最短で山頂に行けると考えて登りましたが、結果は緑の尾根のほうが楽に山頂に行けるという結果でした。いずれにしても3時間のアプローチでした。

さすが里山です。この山に山仕事で通っていた人々の痕跡がしっかりありました。有難く使わせていただきました。


もうすぐ正月ですが、正月の飾りに赤い実の植物を使います。「千両万両アリドオシ」のアリドオシです。登り始めにたくさんありました。「千両も万両もずうっ~とありますよ」という縁起物の植物です。


八森山にダイレクトに行く東尾根と言ってもいい急登の尾根、またしてもさすが里山で昔のトレースが薄いながらもずっと続いていました。でも登りにくかったのは急な傾斜が続き、全く遊び(傾斜が緩むとか景色がいいとかです。)がないつらい尾根でした。


ずっとこんな景色。石積みに、昔の山仕事に思いめぐらせたりします。


ずっと杉ヒノキの暗い森が続くので、マーキングも見づらいルートです。上渡というのは安倍川沿いの集落です。北東尾根は先ほどの地図のミドリの尾根ルートです。標高が1000mくらいのところですが、遭難して行方不明という事案がいくつもあるそうです。


八森山山頂の西の平にテントを張りました。


石ころもなくフラットで快適なテントサイトでした。


ある日の朝食。鮭リゾット、ウィンナー、漬物、ミツバ、胡麻。


ある日の昼食。モンベル(永谷園製)のリゾッタという、お湯を入れて3分で食べることが出来る簡易食とカップ麺というメニューでした。食材も水も全部背負いあげました。30㎏くらいの歩荷を2回。


暗い杉ヒノキのの林も、朝は明るい。
  

 皆さんは地質調査、僕は歩荷のため安倍川まで下って来ました。上渡の吊り橋は静岡市が管理しています。上渡の吊り橋の上の小ピークの左、小さな沢の上部、吊り橋のたもとから約200mくらい登ったところに集落があったというのが驚きでした。


吊り橋の長さは約140m。上渡はかみどです。集落の名前です。基本は渡(ど)です。


吊り橋を渡って約200m登った所の集落の名前は「向え(むかえ)」ということでした。昭和50年ころまで、いちばん多い時は10軒の家があったそうです。その集落に向かう昔の道形を使って八森山まで歩荷をしました。石の階段があったり、今は杉ヒノキのの植林地ですが、人がすんでいた頃は石積みで作られた山の中の平は畑だったと思います。


今でも残っている建物。


ここのお宅の平が一番広いスペースでした。


モミジの大木もありました。


このお宅は、渡のエリアで一番初めにテレビを購入したそうです。安倍川沿いの本村の人たちも、テレビを見るために吊り橋を渡ってひと登りして、ここまで来たそうです。そこで見たのは、今の天皇陛下の皇太子時代の美智子妃殿下との結婚式や、東京オリンピックだったそうです。転がっていたテレビがその主役だったかもしれません。


そのむかえの集落の西のポイントに行くのは、地形図からとても厳しいだろうと読めました。急傾斜の斜面に細かな沢が何本も入っている。ところが案ずるより産むがやすし、今は石積みだけになってしまったワサビ田への道が残っていて、狙ったところには簡単にあっけなく着いてしまいました。ここでワサビを生産していた頃、羽振りが良くて集落で一番初めにテレビがやって来た家だったのかも知れません。


お話を聞いた80歳代の女性は、小学校に登校する前の仕事が、山の炭焼き釜に行って炭を下におろすことだったといっていました。子供も戦力でした。


これはまた別なタイミングで沢筋に入りました。滝は登りませんが、何段に落ちる滝場にちょっとびっくりしました。


結構な滝がたくさん登場しました。


さっきのワサビ田の跡とは別のワサビ田です。石積みはこちらの方が立派でした。


僕には想像するしかありませんが、ここまでの物は一代では出来ないかもと思いました。


情報をすべて公開できないのでちょっとだけ。指さしているのは1000分の一の地図です。尾根地形に不思議な溝があります。これは普段使っている25000分の一の地形図には登場しません。


尾根地形の溝の写真。


山での生活のサポートという内容の山でしたが、自分の世界の向こうには知らないことがたくさんあるのだなと思えました。ご一緒した地質屋さんとのやり取りはとても面白かったです。それでも山の上でうまい飯が食える!と喜ばれたことは良かったです。



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