有名な黒檜山は群馬県の赤城山の最高峰。そちらは「くろびさん(やま)」という読み方のようです。南アルプス、熊ノ平の西にあるマイナーな黒檜山の読み方は「くろべいやま」。登山道のない黒檜山くろべいやまに行った記録です。
確実に行くために両俣小屋に泊まって山行のスタート地点にしました。始まりの両俣小屋の記事はこちら 朝5時に両俣小屋を発って、黒檜山にトライするために熊ノ平小屋に入りました。小屋締めが終わっていて、冬期開放された二階部分に泊まることとしました。天候が雨だったからです。南アルプスの奥深いところなので、そこに行くだけでも簡単ではありません。午後の早い時間に着きましたが、さっそく西に延びる尾根の偵察をしました。ハイマツの藪漕ぎと北側の崩壊を確認して、がっぷり四つに組まないと行って帰ってこれないと考えました。下の地図の赤線がトレースしたルートです。
いちばん近い尾根が見えます。左から右の尾根がトレース➔した熊ノ平から黒檜山の稜線です。
多くの記録は、下の写真の右下の見えていない三峰川からのトライです。三峰川はみぶがわです。それだと30㎞近い林道歩きです。それではハードなので確実にという意味の熊ノ平からの攻略でした。
前線基地となった熊ノ平小屋。
熊ノ平小屋の標高が約2580m。地形図の西側に2695mの標高点のピークがあります。興味のある方は確認してほしいのですが、国土地理院の地形図はネットでも見れますから。2695m標高点のピーク、井川越から破線が付いていて何らかの道があるんじゃないかと思わせますが、答えは簡単で全くありません。ハイマツの藪漕ぎの稜線です。それを確認した熊ノ平に到着した午後でした。
アタックと言っていい内容の朝でした。黒檜山だけに集中してチャレンジするという意味です。熊ノ平から往復約5㎞のピストンをナメてかからないということです。僕も初めての稜線です。約5㎞の行って帰っての稜線歩きに集中するために、しっかり明るくなってから行動しました。熊ノ平小屋北のテントサイトから入りました。
ダケカンバ帯のマーキング。このリボンは初めだけで、これを追ってルートをトレースすることは出来ません。地形図見ながら自分でルート取りをするしかないルートです。
北側の崩壊地形は取りつくしまがありませんでした。見えている尾根の向こう、南側に行ってルートを探しました。
ダケカンバと草付きにルートを見つけて、主稜線の2695mのピークから西に初めのコルに降り立ちました。ロープは懸垂下降ではなくあくまで安全確保のために使いました。
地形図の主稜線の2695mから西を目指して、2666mまでが核心。三つのピークを越えていくわけですが、最大の難関はハイマツと言う高山に生えている横に延びる松の藪漕ぎ。思いっきり体力を奪われます。
写真は、2666mピーク手前のコル。標高2600m以下は植生としてハイマツはなくなり、シラビソの森となります。ハイマツがなくなればこっちのもの!倒木や幼木が邪魔しても、ハイマツの藪漕ぎよりはよっぽどましで、楽に進むことが出来ます。地形図の標高からそれは想像できていました。
奥深いといっても、やはり日本の山です。歩きやすい尾根にはこんな立派なトレースがありました。
黒檜山山頂の三角点柱石。雨が断続的に降って、寒くてしょうがない山頂でした。
藪やま志向の方には有名なKUMO のサインの山頂標識。
以前も書きました。やぶ尾根も、人が通ったところをトレースする方が楽です。自己満足の話ではありません。現実的なタクティクスです。人が通っているところは小枝が払われていたり、邪魔なものが退かされていたりします。その痕跡として、倒木の苔が剥がれていたり、
枝が折られていたり、というのを注意深く観察しながら歩くと、やぶ尾根も楽にトレースできたりします。これも一つの技術だと思います。
帰りも大変な思いで帰ってきました。藪漕ぎとルート取りです。最後の2695mのピークが見えたときはホットしました。ハイマツの藪漕ぎが大変でした。
井川越が見えて安心!
ベースにした熊ノ平小屋に帰りました!
屋根も水もあるところに帰ってきたのは9時間半後、精いっぱいのチャレンジに精根尽きたという感じでした。お疲れ様でした!
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