みみ石の読図山行、時間の関係で猫坂に変更しました。読図を実践する地形は等高線が曲がっていることが大切です。地図読みの練習という事なので、尾根や谷、それを表す等高線の曲がりが狭い範囲で現れると都度確認ができるので、比較的楽に認識することが出来ます。標高差があると体力の消耗があるので、等高線の曲がりの確認をする前に疲れてしまって中々等高線の変化を把握出来ないという事になったりするので、標高差がないエリアは程よい感じの山行となりました。前半はみたけ道の古道の猫坂の道形を確認しながら地形を読むという内容になり、猫坂からは地形だけを読みながらオリジナルのラインで登って下るというトライでした。
しっかり残った道形、金桜神社からのみたけ道の始まりです。奥秩父のエリアの昔の様子を考える上でとても参考になる資料「奥秩父 原全教(1900-1981)著」にこの場所はどう書かれているかというと、「沢を左に渡って間もなく瀧尾坂という小坂の上りになる。この右手下の澤には行者瀧というのがあって、その傍には籠堂もあるそうだ。」
「御嶽参拝を終えたならば金峰参詣の山道になるのである。黒平の部落まではまだよい路であるが、瀧尾坂、猫坂(ねっこさか)の二坂を越さなければならない。」
金峰山に至るみたけ道、里宮の金桜神社にお参りした後、いよいよ金峰山に向けて、まずは猫坂という峠を越えて黒平の集落に向かいます。猫坂の峠までに瀧尾坂と猫坂というきつい登りが二ヶ所あるという事です。その瀧尾坂というルート、沢沿いと左の小尾根を越えるルートと二つのルートがあります。小尾根のルートの峠上にある石祠です。
立派な石祠。正面の鶴の彫り物は見事です。
小さな峠を過ぎて、沢に戻ります。沢の名前は御嶽沢。道を維持するための石垣。
古道の道形と地形を、地形図で確認しながら進みます。金峰山講の人々、山仕事の人々、黒平集落の人々の生活道路だったわけなので、こんな掘られたような道形です。
猫坂という峠の石祠。
峠の北の馬頭観音。
峠の北からは、金峰山をはじめとした山々の素晴らしい展望。左の尖ったピークがみみ石
猫坂の峠周辺は、ヒノキの植林が枝打ちされてだいぶ明るくなっていました。北側から見た猫坂の峠、南を向いて撮った写真です。
金桜神社からのみたけ道の古道を辿って猫坂の峠まで来ました。なんとなく昔の道形を辿ったわけではなく、ポイントで地形と地形図を照らし合わせながら、地形図上で自分たちがどこにいるかと確認作業をしながら登った峠。目的地に着いたからそのまま来た道を帰るのでは面白くないので、古道を外れて地形を見ながらオリジナルのルート取りを考えて実践するという事をやってみました。後半戦です。写真の奥のピークは地形図に登場する1233.8mの三角点です。猫坂の峠の南東にある三角点は尾根が繋がっています。直線で約1㎞。標高差があまりない中で繋がった尾根が左右に曲がりながら続きます。
黒平に向かう林道をまたぎます。
注目された等高線。尾根地形を表す等高線の曲がりと、沢地形を表す等高線の曲がりが隣り合っているというなんとも珍しい場所。ピカチュウの鉛筆の先端で示している等高線。
到着した三角点1233.8m。この三角点、三角点名が「大森」、明治37年5月に設置された三角点でした。登山道のない山で判断の基準となる三角点なので外せない情報です。
三角点から西にみたけ道に戻るために辿った尾根。途中の林道に出るところが急傾斜で、安全のためにロープを使って懸垂下降をしました。限られた道具で、慣れない懸垂下降を安全にしていただくという事は、登山技術が凝縮しています。確実な方法でという意味で。
こんな傾斜の林道の法面で懸垂下降をしていただきました。
瀧尾坂の悪場、帰りは沢沿いの道を帰りました。この案内板、郷愁を感じて好きなのですが、あまりに大雑把で面白いです。金峰山までの道のりはとても遠いんです。
尾根を赤、沢を青、トレースしたルートを緑で色付けしてみました。傾斜があまりなく複雑な地形を歩くときは、予めこんな準備をしておくと地形が読みやすくなったりします。
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