今シーズンコロナ対応で使っているヘリテイジのクロスオーバードーム f <2G>。テントを支えるポールの中のショックコードが切れたので修理しました。この自立型ツエルトともいえるクロスオーバードームの徹底した軽量化へのチャレンジが凝縮している!と思えたポールのショックコードの仕組みでした。そういえばこのテントをテーマにした記事はありませんでした。
クロスオーバードーム、はじめてテントを購入する人は止めといた方がいいです。通気性を求めたメッシュやレインフライなどがないため僕も工夫して使っています。タープとグランドシートはかなり研究しました。クロスオーバードームは本来テントに求められる快適性・安全性という機能を、軽量化と引き換えにそぎ落としてます。そぎ落とされた部分を補うための経験・技術が必要な難しいテントの形をしたシェルターです。
最新号のFielderにも取り上げていただいてます。vol.53
「玄人が選ぶ野営道具選」というコーナー。Fielderは登山専門誌ではないので、ほかのアウトドアマンはナイフや炊事道具でした。10月発売の登山専門誌にも登場する個室対応のテント泊。
クロスオーバードームのポールのショックコードの仕組みと比較する意味で、他のテントはどうなってんだろうとチェック。写真はアライテントのエアライズ3~4人用です。
こちらはBlack Diamondのファーストライト
Black Diamondのファーストライトのポールのショックコードの仕組みはどうなんだろうとバラしてみてびっくり!なんと2か所もゴムが切れていて、外皮のナイロンだけで辛うじて繋がっていました。
念のために言っておくと、ショックコードというゴムが無くてもテントは立てられます。でもショックコードがセットされていると素早くポールがセット出来ます。クロスオーバードームのショックコードの長さは230cm。税込231円でした。ヘリテイジに注文しました。
直径7.5㎜のアルミ合金のパイプに長さ、37.5㎝が7本、32.5㎝と30㎝が1本づつ、合計9本に分割されたパイプ。両端がプラスとマイナスって言うとわかりやすいと思いますが、プラスマイナスでジョイントされるわけです。鳳凰に登った山行、いきなりゴム切れましたというお客さんの訴え。7.5㎜の中空のパイプはフィッシャーマンノットで結んだゴムを自由にパイプの中を動かしてはくれませんでした。それでもその場は何とかしましたけど。
ちなみにBlack Diamondのファーストライトのショックコードのゴムが左、右がクロスオーバードームのショックコードのゴム。
上からアライテントのリアライズ、真ん中がBlack Diamondのファーストライト、一番下がヘリテイジクロスオーバードームのショックコードのエンド部分です。いちばんシンプルなのが真ん中のBlack Diamondのファーストライトでパイプの中に入る大きさのワッシャーにゴムを結んでるだけです。クロスオーバードームのパイプでは出来ない結び目の自由な移動がアライテントとBlackDiamondテントでは可能です。
ヘリテイジはエンド部分のこの黒いパーツを「樹脂石突き」と言っています。このパーツのくびれているところに2㎜くらいの細引きをガースヒッチ(タイオフ)にして引っ張ると樹脂石突きが外せるとうたってます
エンドの結び目を樹脂石突きの先端に持ってきてポールのパイプに入れるわけです。石突きには約2㎜のゴムが入る溝があります。ちゃんとセットすると樹脂石突きの幅で全部収まってパイプに入るわけです。このゴムが切れてフィッシャーマンノットで結んだとき、パイプの端っこのプラスは通るけど、マイナス側は通りません。そのくらい径が細いパイプです。物作りの軽量化への道は、パイプという金属部分を削るというわかりやすいところからだったのでしょうが、ショックコードをどうするか?ということに突き当たり、結局エンド部分の樹脂パーツを作るところまで行った。そう想像すると執念のテントがクロスオーバードームということになると思います。
そんなクロスオーバードームの開発秘話はあくまで僕の想像です。でも工夫しながらだいぶお世話になってます。もう一回言っときます、初心者はこんな難しいテントには触れない方がいいです。
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