2015年6月15日月曜日

笊ヶ岳2泊3日 前篇

笊ヶ岳、登山口の雨畑地区老平(あまはた、おいだいら)から山頂までの標高差約2100m、往復距離約20㎞。日帰りする人、一泊で登る人、縦走の途中で立ち寄る人、様々でしょう。今回は体力に自信はないけれど、ゆっくり登れば大丈夫!という方々とご一緒しました。標高2021mの檜横手をベースに2泊。入山日と下山日を設けて綿密な計画を立てました。
入山日の朝は雨。テンション下がりますが、お昼までとの予報を信じて老平出発です。


林道のトンネルを抜けると、布引山の登る尾根がはっきり見えます。この日は雨で雲がたなびく中、かろうじて確認できました。奥の左に上がっていく尾根を登ります。スカイラインの何となくピークのように見えるのが檜横手。手前の左に下がる尾根の下を回り込んだところに広河原があります。


整備はされています。

武沢のつり橋
この吊り橋も何となく老朽化している気がします。揺れ幅が年々増しているような気もします。いつかこの橋がだめになっても、あきらめないでください。ここの登山道は、かつて木材運搬用の森林軌道跡を利用したものです。武沢のつり橋の奥でトロッコは渡っていたという道形が残っています。それを使って武沢を渡渉すれば、登山道は繋がります。トロッコ道は奥沢谷左岸のかなり高いところを通っていて、だんだんと沢身に近づき、広河原で沢に降り立つという感じです。


がーん!
一瞬目を疑いました。つい先日5月の30日に渡ったばかりの鉄製の橋が、落石にやられたのでしょう、今にも落ちそうになっていました。このトロッコ道、奥沢谷左岸の結構高いところをトラバース気味につけられています。枝沢を何本も通過するわけですが、基本崩落地形です。どうしても枝沢を通過するところは登山道の弱点となります。枝沢ではない所はトロッコ道がしっかり残っていて安全です。途方に暮れていても仕方ないので、一服入れてフィックスロープを張ることにしました。


5月30日の同じ場所

カラビナやロープにほとんど触れたことがないわけですから大変です。お一人づつ安全に通過していただくために細心の注意を払います。渡り終わったら、思わず拍手が起きました!確実に、そしてスピーディーにということが大事です。


この場所は、以前のブログ記事で何度も注意喚起しています。すごく狭いバンドのトラバースです。たちの悪いことに、右側からのシャワー・・・滝の途中にあるバンドを渡るって感覚でしょうか。

笊ヶ岳というと、広河原の渡渉と、渡った後の樹林帯の急登というイメージです。が、これは声を大にして言いたいのですが、広河原までのアプローチを侮ってはいけません。バランスを崩して奥沢谷に落ちたら、まず助かりません。ずいぶん以前に、トロッコ道に花束が供えられていたことがありました。それを見た時に確信しました。広河原までのアプローチも危険です。侮ってはいけません。


今回の発見
奥沢谷左岸をずっとトラバースしてきて、沢が大きくわかれるか所は、広河原目指して直角に北に曲がります。昔そこに吊り橋がかかっていて、山の神までの道があったそうです。その屈曲点の道標のピンクリボンに刺してあった犬釘。この錆びた鉄のくぎは、その昔トロッコのレールを支えていたものです。誰かが見つけて何とはなしにさしておいたものでしょう。


雨の日のトロッコ道はいたるところでこんな滝状態。


そんな滝状態のところで収穫したミズ。ウワバミソウと呼ばれるこの山菜を今夜のメニュウーに加えました。


皆さん、笊ヶ岳と四つに取り組みます。渡渉を楽にという発想です。足を保温するためのビニール。初めて見ました。この必死さってすごくいいと思いました。絶対に山頂に行くぞ!という気持ちが、表裏一体です


慎重にわたります。渡渉です。


無事渡り終えた現場の証拠写真。


なんとも幻想的です。
雨は上がった午後ですが、しばらくはガスってしまって墨絵のような世界でした。


強風で落ちたブナの実。やっぱりこいつは森のおごっそうです。まだ熟していないにもかかわらず、三角の実は虫に食べられていました。


すごくたくさんあったギンリョウソウ


ガスの中、見上げるとやっぱコシアブラという、標高1700m付近。


コメツガの新芽


植物の垂直分布です。900mの広河原から順次登ります。1200mで山の神。1500m位から唐松の林となります。すっごい急登です。1800mくらいになると針葉樹の林に変わります。それを合図に傾斜が優しくなって、檜横手が近いことを知らせてくれます。


檜横手山頂

たくさん咲いていたオサバグサ


無事、檜横手のテント場に着きました。朝の雨でぬれたものを干しながら焚火をしていると、まるで新婚さんみたいだ、なんて笑いました。


今夜のメニューは、白米(無洗米を炊きました)、レトルト中華丼、キュウリの浅漬け、ウワバミソウの味噌汁。ウワバミソウのシャキシャキ感がよかったです。


ここの魅力は、明日トライする大笊小笊がしっかり見えることです。


すごく計画通りに山行が進み、モチベーションがとっても上がった夜でした。


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