2016年3月26日土曜日

櫃ヶ山

櫃ヶ山ひつがせんは、中国山地の真ん中に位置する大山(だいせん)、蒜山(ひるぜん)の南にある山です。中国山地は兵庫県から山口県までをカバーする東西にとても長い脊梁で、500kmもあります。北側は日本海に流れ、南側は瀬戸内海に流れる河川となります。岡山2日目は、中、上級者のための地図読みというリクエスト。韮崎の自室でPCに向き合って、真剣に地形図を見てここなら!と決めた山。参加者も僕も初めての山です。岡山市内から1時間ちょっと高速に乗って、形のいいかっちょいい櫃ヶ山が見えたら、あっという間に登山口でした。


竜頭の滝は地域の観光資源。その滝までは遊歩道が設置されています。国道313号線脇から入りました。僕らは、地形図しか見ていません。これって注目すべき事柄なんだけどな。


遊歩道の様子。この道は大庭皿川中流にあった集落への生活路でもあったようです。


国道の日の谷集落から入ってすぐ、地形図には二本の徒歩線が書かれています。尾根と谷が交互に現れるわかりやすい地形。手前の徒歩線は道形が全く分かりませんでした。奥の龍頭の滝手前に東屋があり、その裏手から伸びる徒歩線はすぐにわかりました。
急登をひと登りしたら、はっきりした道形になりました。生活のために使われていた道です。


地図上の特徴のある地形の場所をナンバリング。№⑳は「五輪山980m」


廃村となった集落跡。山梨の僕には調べられなかった集落名、大庭皿か仲間か、はたまた全く違う名前なのか?わかりませんが、立派な石垣がたくさん残っていました。ちょうど元住民の方が山道を下ってきました。雨のあと道を見まっわっているとのこと。昭和の終わりの頃まで人が住んでいたそうです。櫃ヶ山と星山を結ぶ稜線を越えて、北の鉄山川沿いの集落とも行き来があったそうです。具体的な話はしなかったのですが、今回下る尾根を利用していたのではないかととっさに思いました。昔の山道は尾根を利用することが多いからです。五輪山から南に下る尾根。ひょっとしたら、何か痕跡があるかもしれないと想像しました。


地形図には「オオサンショウウオ生息地」とも書かれています。お聞きしたら、櫃ヶ山の北東側のほうが多いとのことでした。すべて昔の話で、昔は大庭皿川にもいたそうです。今はどうなんでしょう?


登山道は林道で分断されます。


櫃ヶ山の登山道、山頂から東に延びる尾根に取り付く登山者が多そうです。大庭皿川のルートは下山ルートといわれています。東に延びる尾根がとても急なので、多くの方は登りで使うからです。昔は筆ヶ山と書かれていたという説もあります。筆の先を立てたような姿だからとか。要は鋭角でシャープな山ということです。


登るに従い展望が素晴らしい!


稜線のコルに出ました。


稜線に出ると北側が開けます。地形図でわかることなので、ワクワクしながら急登をこなしました。大山、烏ノ山、蒜山なんかがバッチシ見えました。


整備された稜線の上は、とっても気持ちのいい登山道でした。


櫃ヶ山の山頂


山頂からコルに戻り、五輪山を目指します。下の写真の左のピーク。


地図読み⇒沢だと上りがむずかしく、尾根だと下りがむずかしい、という常識があります。なのでこの日は中、上級者向けということで、往きの上りは沢地形、帰りの下りは尾根地形でというコンセプトでした。五輪山の山頂で心の準備中です。プラス、地形図から読み取れるデータも準備中です。次のポイントまでの標高差や次のポイントの特徴なんかを頭の中に叩き込みます。


笹やぶメインのやぶ漕ぎです。見た目ほどひどいやぶではありませんでした。傾斜があったので逆にコツさえつかめばどんどん下れました。


降り立った標高約750mのコル。次の目標は三角点、点名「大杉」


振り返ってみる五輪山。


三角点大杉779.3m 三角点の点の記は、夜の机上講習で皆さんにも見ていただいていました。大杉という三角点名から想像していたのは、大きな杉があるかも?でしたが、ありませんでした・・・ただ、朝会った地元の人の話では、この三角点の周辺は昔、天然の杉が多かったところというもの。三角点が設置された明治のころは大杉があったのかも知れません。想像していた昔の痕跡は全く分かりませんでした。


三角点を過ぎて状況が一変しました。傾斜がなくなり笹藪を進むのがとても大変になったことと、倒木が酷過ぎて、のんびり地図読みという感じではなくなったのでした。


これです・・・


いつもだったら参加いただいた方に先行していただきます。そのほうが地図読みのスキルアップにつながるからです。途中か最後に僕がいて、はずしたくない地形の特徴があるところで、地形図と実際の地形を照らし合わせるというスタイルです。ところがそんなのんきなことを言っていられないくらいの状況。地形がわからないくらいの倒木でした。地形図に表現されていませんもん、倒木。なので、僕が先行しました。コンパスは、常に整置状態。近くも遠くの見えるものは全て地形図との照らし合わせに使いました。なんとか正確に予定のルートを歩けたことにホッとしました。


下山予定の尾根の3分の2くらいまで下って来てごちそうさまとなりました。林道にエスケープです。


それなりに春を堪能。ミツマタがきれいに咲き始め、フキノトウもいただきました。


下山は久納の集落へ。昔の山仕事の道を、やりきった感に満たされて下っている途中に出会ったヒメウズというキンポウゲ科の可憐な花。


2 件のコメント:

  1. 地図読み山行ありがとうございました。大変な山行だったけれど、斯うして写真にまとめてもらうと美しい山行に見えます。倒木がなかったならと思いますが、それもまたいい思い出、しかし何であんな所に倒木がたくさん・・・。

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  2. 長谷井さん先日はありがとうございました、お世話になりました。

    櫃ヶ山、いい山だと思いました。登山道を歩くべきですけどね。
    あの倒木地帯で、改めて大切だと思えた読図技術は「整置」です。
    あの状況の中で整置だけで現在地の特定をしたのでした。
    僕も勉強になりました。ありがとうございました。

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