2016年5月7日土曜日

韮崎アルプス山行編

名前のない尾根に名前を付ければ親しみがわいて、新たな展開にが起こるかもしれないというかすかな期待は木っ端みじんに吹っ飛びました!

「韮崎アルプス」です。実際に甘利山駐車場から小武川東電第四発電所まで通しで歩いてみて、そんなネーミングは似合わない尾根だというのが率直な感想です。
午後から雨予想の日でした。甲斐駒ケ岳と鳳凰山です。


静岡山岳自然ガイド協会の研修です。多くの仲間が集まった目的は、登山道のない長い尾根で個人の体験を積む、読図と言うスキルアップに専念するということになりました。車の配置を終えて、スタート地点の甘利山駐車場です。標高1640m


甘利山グリーンロッジの裏から尾根に入りました。


巨大なアンテナ塔が見え始めます。このアンテナ塔はNTTドコモの甘利無線中継所です。韮崎の街からもよく見えます。


恩賜林の境界標。


ニリンソウ。鈴嵐山手前のコルです。以前はもっと咲いていたのですが・・・


バイケイソウ。


カジカエデ。葉っぱの形がクワ科の梶の木カジノキに似るのでカジカエデ。


鈴嵐山の三角点。1535.9m点名「水越」三等三角点 明治37年5月22日(造標)


今回地図読みで最も難しいセクションが、鈴嵐山と鳥居峠の間です。ゆるい傾斜の中に細かく尾根と沢が方向を変えて出てくるからです。こんなものに出くわしました。


何だろう?三人がかりで起こしました。水上安之翁頌徳碑と彫られています。表面が伏せられていたので読みやすく残されたのでしょう。頌徳碑(しょうとくひ)は偉い人をほめたたえる碑のことです。裏の説明文、ほとんど読み取れなかったのですが、旧水上村の水上安之さんが明治24年多額の私財を投入して、鈴嵐山の辺りに新しい林道を開設したという説明だと思います。昭和17年10月上山村外二ヶ町村恩賜林保護組合と書かれていました。


ルイヨウボタン。類葉牡丹という和名です。葉っぱがボタンのそれによく似ているというネーミング。


鳥居峠まで下りてきました。この峠は川が流れているとても珍しい峠です。ふもとの青木集落の田んぼの水を確保するため、ゴア沢(小字沢です。)から水を引っ張って来た農業用の用水路が峠を越えているのです。正確には越えはしませんが。


鳥居峠の古い看板。
この鳳凰山の前山は歩くことを目的にはされて来ませんでした。韮崎アルプスにあるたくさんのコル、峠は青木鉱泉、御座石鉱泉の湯治客と登山者、主には山仕事の人たちが峠越えをしてきた前山です。僕らは峠越えという目的ではなく、90度回して尾根上を縦走しているわけです。その峠越えをした人物の中に、登山史に残る有名な「加藤文太郎」もいました。昭和2年(1925年)7月10日~17日小渋川 広河原-赤石岳-聖岳ピストン-荒川岳-塩見岳-農鳥-間ノ岳-北岳-鳳凰山という8日間の山行。昭和2年7月17日午後7時ころこの峠を青木鉱泉から超えています。「加藤文太郎 『単独行』南アルプスを行く-赤石山脈・白根山脈縦走-」


鳥居峠から北上して、青木鉱泉と清哲村を結ぶ「三本木」という交差点を過ぎたところ。すべて昔の仕事道です。


三角点名「小武川」四等三角点1168.7m 昭和58年11月8日(埋標)


荒倉山が見えています。荒倉山の南西から見ています。この山はどこから見ても同じ形です。


荒倉山山頂。ここからしばらく登山道です。円野まるの方面から付けられている登山道。国土地理院の二万五千図を見ながら行動しているわけです。この登山道は地形図に記載がありません。ややこしいことに記載されていない林道も登場します。情報源が地形図だけという僕らにはちょっと厄介なセクッションでした。


平川峠。昔、円野まるの集落と御座石鉱泉を結んでいた峠です。


雨が降り出しました・・・


ヤマツツジ


三角点名「上円井かみつぶらい」三等三角点881.6m 明治37年6月8日(選点)山梨県韮崎市円野町大字神円井字西向3906
点の記に書かれていた住所にヒントがあります。「西向」。地元ではこのなだらかなピークを西向、と呼んでいるようです。


小武川二号橋。この橋の横に車をデポして、甘利山駐車場まで40分のドライブ。一日かけて縦走してきました。40分かけて甘利山駐車場に車を取りに行かなくてはなりません。


最後の尾根は、転がる岩や倒木が雨でとても滑りやすくなっていて大変でした。
無事下山の図です。


参考コースタイムを書いておきます。
甘利山駐車場9:25-アンテナ塔9:35-鈴嵐山10:30-鳥居峠12:00-三本木13:00-小武川三角点13:20-荒倉山14:45-平川峠15:40-西向16:10-小武川17:15
修行の山と言われました。やはり韮崎アルプスと呼ぶことはやめておきます。ご当地アルプスはなるべく多くの方に馴染む条件が整っていないとだめです。公共交通機関が整っているとか、下山後に美味しいものを食べれるとか。そういう要素はここにはありません。尾根がつながっているので、面白いと言えばそうなのですが、地図を読めることが絶対条件の尾根です。ご注意ください!


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