2013年10月27日日曜日

甲斐駒坊主尾根

先日久しぶりに山の友人に会いました。

山が好きで、30年以上前に山梨に引っ越してきたつわものです。彼のブログ

今多くのクライマーが訪れる、太刀岡山、甲府幕岩、兜山の岩場などは、彼の存在がなかったら開拓されることはなかったかもしれないキーパーソンです。
南アルプスと八ヶ岳の展望がすこぶるいい所に住む彼のブログを見ていたら、‘坊主尾根’という名前が出てきました。当時の事は忘れてしまいましたが、当時記録のほとんどないこの尾根を登ったことは凄いことです。
1984年1月5~8日、『岳人』442号記録速報


 北杜市武川地区から見た甲斐駒です。 


坊主尾根は大武川の本流と篠沢に挟まれた尾根です。黒戸尾根よりは短いものの道がないことを考えれば、やはり厳しい尾根です。つづみ、ヤニクボ、宮の頭などのピークが尾根上にあります。
大武川の篠沢を渡った橋のところにあるゲートの先から取りつきます。つづみまでは問題はありません。いったん下ったコルは岩が出てきてフィックスが張られていたりします。ヤニクボの登りにかかると長い尾根を実感します。

写真は宮の頭あたりから見た、摩利支天と仙丈と栗沢山です。


宮の頭山頂付近の様子


宮の頭あたりから見た甲斐駒


黒戸尾根八合目への登りだしから見た宮の頭
写真は3月と5月のものです。


この5月の山行の時は残雪を利用してサクッと登ろうとしたのですが、大失敗をやらかしました。
宮の頭の最低鞍部から傾斜が増して、岩も出てきます。60度切れるくらいの傾斜の雪面を快調に登り、岩をのっこしてテラス状のところに登ろうとしてました。雪が岩にぶつかるところは人が入れるくらいのシュルンドになっていました。そいつをまたいで、上に垂れさがるように生えたダケカンバの幹にピッケルをかけてぶら下がりました。岩のでこぼこにアイゼンのツメで乗っかって体を持ち上げた時に重心が変わってピッケルが外れ雪面を滑り落ちました。
木にぶつかりながら数十メートル落ちたところが傾斜が緩くなっていて、おまけにブッシュも生えていました。ブッシュにしがみついて止まった先を覗くと雪の詰まったルンゼが数百メートル落ちていました・・・
ルンゼまで落ちていたらお陀仏だったでしょう。
全身打撲で、しばらくは放心状態でした。戻るよりは黒戸の八合目を目指した方がずっと近い距離感です。でも体が動きません。夕暮れも近い時間になってます。とりあえず落ちた雪の斜面を這いつくばって左から巻いて寝るところを探しました。1人なので横になるスペースはいくらでもあります。少し登って尾根の向こう側を見ると、篠沢の上部と七丈小屋が見えました。ツエルトを張れば快適なねぐらです。気絶したように寝てしまいました。
翌朝、日が登ってだいぶたってから登り始めました。幸い骨には異常なかったのです。


案外八合目の台地が近くに見えるところにいたのですが、ハイマツの藪こぎ・・・


八合目台地までは地獄のような2時間でした。


黒戸尾根の一般道に出たとはいえ長い下りが待っています。
それでもハイマツこぎよりはましか!?と思いなおしての下山でした。
理想的には、五合目まで下ったら黒戸山に登って桑の木尾根を下るのですが、そんなこと言ってられませんでした。普通の倍くらい時間がかかって駒ケ岳神社に下山の報告をしたのでした。

やはり坊主尾根を30年前の冬にやった友人は尊敬しちゃいます!



1 件のコメント:

  1.  うわっ。大変な思いをしましたね。山はいつでも落とし穴を用意しているので、教訓にしたいと思いました。でも、山の神に連れて行かれなくて良かったです。
    ダメージ後のビバークはホッとしたでしょうね。それに翌日のハイマツ漕ぎは半端じゃなかったでしょう。
     黒戸尾根の下りは、それまでの登攀でボロボロになっていると本当にきついですよね~。でも、時間が経つとまた行きたくなっちゃう。山っていいですね。
     これからもずっと活躍をして下さい。そのためにもご自愛を!

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