2014年10月20日月曜日

安倍奥の山

安倍峠の旧道


 公益社団法人 日本山岳ガイド協会 ガイド協会の正式名称です。

ガイド協会は全国各地で、登山者の安全に対する知識と技術の向上のため、「百万人の山と自然 安全のための知識と技術 」を開催しています。
 学識経験者、医師、現役の山岳ガイドらが講師で、映像や資料を交えて登山における安全に対する心構えと知識に焦点を絞った内容で講演をします。全国各地で開催されます。すべての講座は、実技講座(日帰り登山)も実施されます(だいたい・・・)。安全な歩行技術だけではなく、装備や緊急時の対応なども、日本山岳ガイド協会認定ガイドがレクチャーします。「百万人の山と自然」は公開講座と実技講座の二本立です。実技講座のお手伝いに行って来たのでした。

今回は上野真一郎講師



上野さんは僕が所属している、NPO法人静岡山岳自然ガイド協会の理事長です。ガイド実績が20年を超えるベテランで、自然解説だけではなく山に関するあらゆるカテゴリーの知識が豊富です。

オオイタヤメイゲツというカエデ科の樹の解説から今回の実技講座が始まりました。


オオイタヤメイゲツの黄葉


こちらは静岡県にはちょっと似合わない、ブナの大木


ブナの大木の下には、前夜のねぐらの跡がありました。カモシカだろうとなりました。足跡と残された毛からの推測です。 


盆栽のような コスギゴケ


地形図を見ながら、地図上の表記と実際の地形とを見比べています。


気持ちのいいコルに出ました。


今は通行止めの林道の脇の崖、ここには盛夏にビランジが咲くそうで、ここいらでは唯一の場所ということでした。あとは絶滅?鳳凰の稜線にあるのはタカネビランジ、ビランジはそれより低山に咲く花


林道開通記念の記念碑

タイトルの安倍奥という表現は山梨の人には馴染みがないと思います。県境の尾根を越えてその先は静岡県。静岡では北の方角を見るわけで、安倍川の奥というそのままの意味だと思います。

身延の南の大城という集落から安倍峠には登れますが、数年前から土砂崩れで通行止めです。そこで、静岡まで国道52号線を南下して、安倍川の下の方から安倍峠を目指しました。山梨から3時間。梅ヶ島温泉の上からスタートの登山ですが、昔から山梨とはいわくつきの土地です。梅ヶ島温泉自体、戦国時代に信玄の隠し湯と言われていたり、その下に在った金山も武田の金山として有名でした。採掘した金は安倍峠を通って甲斐に運ばれていたという峠です。山梨県は山に囲まれていて閉鎖されているというイメージがありますが、県境での峠の人々の往来は現在では想像できないくらい活発だったということが実感できる峠のひとつが、安倍峠でしょう。

オオイタヤメイゲツの純林。安倍峠の静岡側にあります。 


安倍川の支流、サカサ川が今回の源流 


傾斜が緩やかでとても蛇行しているので、どっちに向いているかわからないくらいじゃん!ということで逆さ(サカサ)というネーミング。


緩やかに水量が増して、川の成り立ちがよくわかる地形でした。 


オオイタヤメイゲツの黄葉 


安倍峠の旧道が林道と落ち合うところ


終了の解散の儀式


短い間に奥深い自然のエッセンスが詰まったルートでした。


0 件のコメント:

コメントを投稿