2015年9月1日火曜日

戸台川増水

鋸岳第一高点をピストンして、大岩下の岩小屋でテントを回収、樹林帯から戸台の河原に降りてきました。無事に危険地帯から脱出!とならなかったのが今回の鋸岳でした。サバイバルの始まり。
写真は、入山した日の戸台川本流の渡渉です。登山靴を履いたまま、濡れずに渡れました。


これは角兵衛沢の真ん中ぐらいの岩壁です。左岸です。角兵衛沢という名前ですが、水の流れはありません。岩屑の沢です。2日間断続的に降った雨で、岩壁が滝になっていました。こんな光景はなかなか見ることが出来ないでしょう。


そして戸台川本流。本流を渡れば登山道があります。なんとしても渡らなければなりません。まず水の流れを観察して、深くなく、水圧が弱そうで、まんがいちこけてもすぐ下流に岩があって、多少でも瀬になっていて、ロープを張る支点が作れそうなところを選びました。ナイロンロープは伸びるので、バランスを取りやすいようにロープにテンション掛けたりしてサポートもします。


いちばん深い所で股間ぐらい。濡れる~とか、冷たい~とか、こわい~とかは言ってられません!上流をしっかり見て、すり足で川底を探りながら進みます。水との闘いです。
 

一泊二日の荷物です。ザックも背負わなくてはなりません。ここで注意するのは、ウェストベルトなどはしない方がいいということです。まんがいち流されたとき、ザックから体が離れた方がいいのです。ザックは軽いからどうしても浮きます。そうすると頭が押えられて、顔がずっと水の中という状況になってしまいます。ザックは流されてどこかに行っちゃっても、空身になれば岩にしがみつくとかサバイバルの可能性が広がります。


ロープ、片側は固定して、渡り切ったもう片側にはロールンロックというギアを使いました。ロープクランプです。このギアを通した反対のロープを力強く引くと、ロープをどんどんぴ~んと張ることが出来ます。非常にシンプルなシステムを作ることが出来ます。なかなか優れもののギアです。軽くていいやつなのでいつもザックの中に入っています。


全員無事渡り終わったら自然と万歳三唱!で、終わりかと思ったのですが、サバイバルは2時間の戸台の河原歩きの最後まで続きました。


渡り終えた対岸にある道標。なんの慰めにもなりませんが、道標が立派だと妙に安心します。


どうしようと思案しながら近づいたら、あっけなくこなせた川の屈曲点。


この頃になると、靴が濡れるということはほとんど気にならなくなっていました。右岸の枝沢からの流れ出しがすごくて、上流から流されてきた石灰岩の砂利がきれいでした。


いつもはちょろちょろの流れの戸台川なのですが、増水している時は本気の自然というか、自然の本気というか、まじ、サバイバルになってしまいます。ここは水線際を行けないので、赤テープに従い右の、右岸につけられた巻き道を行きました。ところがこれは失敗でした・・・


急傾斜の、泥と岩の斜面のトラバースで、危険極まりないルートでした。右岸の巻き道に入る手前で、本流を渡ったほうがよほど安全でした。思わずフィックスロープを張った次第です。反省・・・


ここまで来ると川の流れも分散され、渡りながらも思わず笑みがこぼれます。ご夫婦水入らずの渡渉です!


いろんなシュチュエーションがありますが、この日はあと1時間で下山完了ということで、最後は登山靴のままの渡渉となりました。1時間で帰るというシュチュエーションです。この感覚は大事です。いろんなことを天秤にかけています。濡れると嫌だけど、登山靴が一番足を守ってくれます。


増水した戸台川との闘いもグランドフィナーレ。水の流れの中に登山靴のまま足を浸らせて感傷に浸りたいところなんですが、川のセクションが終わった後でも林道歩きがちょっとだけ残っています。頑張りどころ!


なんでこうなるのか・・・今回も中身の濃い山行になりました。


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