2017年9月27日水曜日

大窓

8月の池ノ平山の山行は雨にやられました。池ノ平山は南峰2555mと北峰2561mがあります。8月は南峰には行けましたが、雨と強風で残念なことに北峰には行けませんでした。なんとか北峰に行けないか?ということで地形図を見たり、ネット検索したりしていろいろ調べました。大窓というのは剣岳北方稜線の上の、池ノ平山北峰と白ハゲという三角点ピークの間にあるコルです。‘’窓‘’とは切れ込みの深い鞍部、コルのことで、北方稜線を剣岳に向かうと、小窓、三ノ窓と窓が続きます。その窓の切れ込みは富山平野からもよく見えるそうです。8月の山行は室堂-剣沢-池の平小屋と登山道を使ってアプローチしました。ただ距離が長く3泊4日かかり、3日間雨の山行でした。北上するルートです。大窓から南下すればの可能性を考えれば考えるほど、個人的にむちゃくちゃ行ってみたくなりました。結果、富山県上市町馬場島から大窓に登り、剣岳の山頂から早月尾根を下り馬場島までの周回の一泊二日の山行になりました。写真は馬場島の白萩川のゲートです。


白萩川の林道歩きはそれほど長くなく、谷間から池ノ平山北峰が見えました。写真の鋭い傾斜の山です。池ノ平山北峰と左の大窓ノ頭(おおまどのずこ)がひとつの山に見えます。


 白萩川本流はタカノスワリと呼ばれるゴルジュ(両側の岩壁がせばまっている谷)となっていて、巻き道は赤谷尾根(あかたんおね)末端の枝尾根の小ピークのコルを越えるもの。


小尾根を越えて再び白萩川に下り立つと、正面が池ノ谷(いけのたん、この辺りでは谷という字の読み方が’たん、だん´)の出合。池ノ谷は上部で池ノ谷ガリーから池ノ谷乗越(いけのたんのっこし)の右俣と、三ノ窓に突き上げる左俣とに分かれます。


白萩川の流れ。渡渉は3回して、靴を脱いだのが一度。沢靴も準備しましたが必要ありませんでした。概ね右岸を歩きました。


早月川の支流の白萩川、標高約1500mくらいで三本に分かれます。東仙人谷、中仙人谷、西仙人谷。その手前でズタズタの雪渓が登場しました。それでも融雪が進んでいてルート取りはそれほど悩みませんでした。


東仙人谷の出合の滝。


西仙人谷出合の滝。この沢を詰めると小窓に行きます。


中仙人谷をだいぶ登って来ました。水の流れ出しは1700mくらい。そこで水を補充しないと後で苦労すると思います。


この目印が鉱山道の入り口。沢から小尾根に入ります。


大窓に向かう小尾根の鉱山道、小黒部鉱山(こくろべこうざん)と言う鉱山への道です。大正時代から昭和のはじめにモリブデン鉱石を採って、大窓から白萩川を下り富山県上市町に運んでいた鉱山道です。そんな昔の道なのでもはや判然としません。意図的に折られた枝や・・・


鋸で切られた跡・・・


消えかかったペイント・・・そんなのに注意しながら進みました。


突然現れた石積み。その規模はわかりませんがモリブデン鉱石を運ぶための索道の̪支柱の台座だったそうです。


ふたつ目の石積み。手前の朽ちた木材も使われていたみたいです。


大窓の石仏。小黒部鉱山を見守ってきたのでしょう。


大窓ノ頭(おおまどのずこ、この地方では頭は`ずこ´と読みます)の登り。


注意すればトレースがわかりますがセンスが必要です。終始ヤブこぎと言うほどではありません。


大窓ノ頭(おおまどのずこ)から見た池ノ平山北峰。先が思いやられる景色が目に飛び込んできます。どこをトレースするのか?目の前の難題をひとつづつこなすしかありません。


大窓ノ頭(おおまどのずこ)と池ノ平山北峰との間のこのピークの通過が厳しかった!




問題の岩峰を左から回ってみると5mほどの凹角。頭くらいの高さにボルトが打たれていました。その上に残置のシュリンゲがあって、そのまま使わせていただきました。


池ノ平山北峰の山頂。5m凹角の後も急な草付きの登りで気が抜けませんでした。


池ノ平山北峰から見た池ノ平山南峰。北峰の時と同じようにどうトレースする?と思った景色です。多くのトレースがある小窓から剣岳までの北方稜線の方が簡単だと思えるセクションです。


北峰の山頂から真っ直ぐ西仙人谷側に下ります。結構大胆に下った方が後が楽です。そしてコルに向かってガレた沢を登って行きます。


這松のなだらかな尾根が短く続いて一旦下ります。そこから見る池ノ平山南峰も相変わらずのどこを登るんじゃ!という感じでした。


写真写りが凄すぎますがここまでの威圧感はありません。でもここが北峰から南峰の核心になります。



古いロープと同じラインで新しいナイロンザイルの残置がありました。それらは使わず左のガレから登ってみましたがいまいちでした。いまいちの意味は楽には登れないということです。残置があるラインの方が草付きを利用して楽に上に行けます。急傾斜が終われば悪場はおしまいです。


池ノ平山南峰2555m。


どこかでテント泊、幕営でもよかったのですが、下の写真の真ん中の池の平小屋にもういちど泊まりたくなってしまったので向かいました。池ノ平山南峰からは登山道です。


チングルマの綿毛と八ツ峰。味わい深い景色がどんどん展開します。


池の平小屋に着いて、特殊な小屋なので前日予約の電話を入れていましたが午後4時を過ぎたら夕飯はないよと言われていました。小屋番の佐方さんと再会して話をしていたら隣の仙人池まで行って来いよとなりました。早めに池の平小屋に着いたからの愛嬌です。仙人峠から見た仙人池ヒュッテです。



玄関だけが新しい仙人池ヒュッテ。


ここからの裏剣がいかに人気かということを表す写真です。画鋲で日にちを表現。


クロサンショウウオいましたよ。


紅葉が始まった裏剣。裏剣は剣岳の北側ということです。9月から10月の初めにかけてここから黒部川に下る雲切新道は季節の定番人気ルートです。


池の平小屋に戻ると雨。結構な勢いで降り出した雨。夜半には大降りの雨。


常に雨  ずっと雨  絶えず雨  晴れれば超好運  降られねば幸福
‘‘ 雨の山 ‘‘  剱嶽 ‼

なんかとってもお気持ち察します。1泊2日での今回もやはり大雨が降りました。翌日は小屋の北の小黒部谷を下って大窓谷(おおまどだん)から大窓に登り返し、白ハゲ、赤ハゲ、赤谷山(あかたんたま)からブナクラ谷に下って馬場島に戻ろうと思っていましたが、雪渓の状態が良くなさそうでした。それは稜線から見ても明らかでした。翌日は早月尾根から馬場島に下ることにしました。予定変更です。


池の平小屋わきの石仏。これはもともと池ノ平山南峰の山頂にあったそうです。小屋番の佐方さんはいつか戻してあげたいとおっしゃってました。

参考コースタイム
馬場島ー大窓     4時間30分
大窓ー池ノ平山北峰  1時間30分
北峰ー南峰          45分
南峰ー池の平小屋   1時間
仙人池往復      1時間






2 件のコメント:

  1. 9月26日に雨の中池の平山南峰に登ってきました。この石仏南峰山頂にありました。予定では赤谷山まで行くつもりでしたが、あまりの悪天のため早々に仙人池ヒュッテに移動し、吞んだくれてました。

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  2. ごめんなさい、コメント欄を放置していました…
    記事にあるように小屋番さんが交代する前に池の平山南峰に戻したのでしょう。
    大窓の石仏もモリブデン鉱山がらみでしょう。
    この年は夏に南峰まで行って、それでも北峰に行きたいと言われ
    何とか大窓からいけないものだろうか?といろいろ調べているうち
    自分自身が行きたくなってしまって一人で行きました。
    池の平小屋に泊まった翌日、北方稜線から早月尾根を下って
    そのまま上高地に移動して北穂で仕事でした。
    池の平山北峰は翌年登れました。2500m以上のピークが160個くらいあって
    リクエストされた方は翌年の北峰でそれを達成したのでした。

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