2018年11月4日日曜日

丸盆岳

深南部7泊8日の山行の始まりは3月でした。まず山と渓谷編集部からの問い合わせのメールからで、ハイマツの南限調査をしたい研究者からの問い合わせということでした。これは非常に珍しいケースです。山と渓谷編集部からのメールに添付された文章。

「黒法師岳から入って丸盆岳-鎌崩-不動岳-六呂場山-黒沢山-中ノ尾根山-鶏冠山-池口岳-加加森山-光岳と北上したのち、今度は南下し、百俣沢の頭-信濃俣を抜け大根沢山あたりから畑薙ダムに下る、という行程を考えております。この一筆書きは、これまで調べた範囲でハイマツ(もしくはハイマツ状のゴヨウマツ)が報告されている南限域を網羅しています。なかなか手強い山行となると覚悟しています。時期は台風期を避け、初雪には至らない、晴天の多い時期を模索したいと考えております。このような山行はもちろん一人ではできません。そこで優秀なガイドをご紹介いただけないかと考えております。」

 かなり具体的な内容ですが、ほぼイメージできたのでまだ春の段階で実際にお会いして(滋賀県の霊仙山にご一緒しました。)打ち合わせは済んでいました。スタートは川根本町の寸又峡温泉です。かなり古い話ですが金嬉老事件で有名になった温泉街です。


環境省からも特別に許可を得て、高山帯(実際は亜高山帯に属すということですが)のハイマツの枝をサンプリングして、京都大学と千葉大が関係してDNA鑑定をして論文に書くということでした。そのために深南部を縦走、加えて様々な文献に登場するハイマツ情報を検証していくというミッション。車の回収も考えながらの寸又峡の出発で、とりあえずは黒法師岳を目指しました。最初のターゲットのピークです。


寸又川の大間ダムのダム湖は観光地です。夢の吊橋と呼ばれる谷底の吊り橋。


大間川に架かる飛竜橋。


観光地はここまで。飛竜橋を渡り大間川左岸の林道をしばらくで登山口です。地形図には記載がないので注意なんですが、しっかり標識が設置されているので問題はありません。


尾根の末端の急傾斜が終わると石積み。二か所に分かれ山の中の集落跡が登場しました。


湯山集落跡だそうです。湯山の本村は大間ダムの底に沈んでいるそうです。


寸又三山と呼ばれる前黒法師岳1943m、朝日岳1826m、沢口山1425mです。天気は下り坂、最初のピークの黒法師岳に登るためにまずは前黒法師岳に登るわけです。前と付いていますが立派な山容の存在感のある山です。


古い林道は地形図に記載がありません。


7泊8日の山行の毎日のルーティンは、まず5ℓの水の確保でした。プラティパス2ℓ2本と1ℓのナルゲンに合計5ℓの水を確保してツエルトを張り夕食です。古い林道跡のヘリポートと呼ばれる場所にツエルトを張った夜半は雨。


2日目の朝、雨の弱まるのを待って遅い出発でした。二ツ山と呼ばれるツインピークあたりは痩せた尾根です。


常に直後の狙いを陽のあるうちにこなせるか?と考えながらの行動です。黒法師岳山頂でも泊まれるけど、次の日のことを考えるともう少し先に進んでおきたい。まずは水の確保です。前黒法師岳から進んで黒法師岳の最後の登り手前のコル。ネット情報でコルの西側の上西平沢源流で水が取れるということは調べてありました。ここは使える水場です。


細いトレースを使って黒法師岳を目指します。


黒法師岳山頂。


一等三角点黒法師岳柱石。ふつうは+なのに×で有名な三角点です。


黒法師岳の一般ルートである等高尾根を見下ろします。小ピークがあるのが等高尾根。


笹原をどんどん進んでやっと青空になりました。午後2時半過ぎでした。水も確保したし、少し早いけど丸盆岳手前のカモシカ平でツエルトを張ることにしました。正面が丸盆岳。


雨でぬれたものを乾かしつつ、のんびりした2日目の夕方。


3日目の朝は極寒!氷点下5℃くらいだったでしょうか?ツエルトのフライの下に不用意に雨でぬれた登山靴を置いていたら、凍ってしまい足が入らなくなってしまった・・・


雨の翌朝は素晴らしい日の出でした。遠くの左はもちろん富士山です。


丸盆岳の登り。


カモシカ平からの左 黒法師岳、右 バラ谷の頭。


丸盆岳山頂。いよいよルート上最大の難所「カマナギ」に向かいます。前日早めに切り上げたのはこの難所にあさイチで取り付くためでした。続きます。



0 件のコメント:

コメントを投稿