冬の定番といえば八ヶ岳の天狗岳です。入山は圧倒的に西側、茅野市の渋の湯からです。東側の稲子湯からは、ん十年前に歩いたっきりで、ほとんど記憶にありません。ちょっと天狗まで東側から行ってくるかと車を走らせました。
国道141号線を北上。小海町の松原湖から入り、稲子湯の上のゲート手前に駐車スペースはあります。
昔の仕事道が登山道になっているところは沢山あります。林道が出来る前から山仕事で多くの人が山に入っていました。林道も伐採、植林と、作業が一段落するとしばらく使われなくなり、その一部が登山道として利用されたりします。稲子湯からみどり池までの登山道もそんなふうに思えました。
そして登場したのがこいつです。
森林軌道のレールです。切り出した木材の運搬手段として使われていた簡単な鉄道です。はじめに森林軌道があって、それを利用した登山道というわけです。山梨で有名なのは、西沢渓谷や老平から笊ヶ岳に登る時も昔の軌道跡を利用します。全国いろんなところに森林軌道跡はあります。
こまどり沢という名前の広場。ここから急登が始まります。
急登が始まってすぐにレール登場。なんだか気になって、追いかけてみることにしました。登山道として存在する前にあった森林軌道です。それを利用した登山道なので、同じところに出るだろう、という目算もありました。
明らかに使われている道のようなところに出ました。もちろん軌道跡です。ここは小さな沢を渡るところですが、橋が架かっていて、廃レールも利用されています。
すぐに、しらびそ小屋の荷揚げに使われているのだろうと思いました。
しらびそ小屋の寒暖計
みどり池と東天狗岳
この時はまだ天狗の山頂に行くつもりでした。
立派な石垣。確信を持って言えます、これも森林軌道がらみです。
天狗岳に行くにしても 、中山峠からか、本沢温泉周りか?なんて思いながら歩きはじめると、ずっとレールがお供していました。本沢温泉の分岐を中山峠方面に入って、直角に右に折れる標識のあるところ、レールはさらにまっすぐ続いています。登山道が曲がっているということは、軌道跡を利用してきた登山道が軌道とオサラバするところということです。とりあえず気になって仕方ないので、僕はオサラバしないで軌道を追うことにしました。
風もなく、気温も高い、空も高い!
まだ部分的な冬
もちろん軌道跡は、登山道に利用されているところははっきりしていますが、 そうではない廃レールの上は、倒木があったり、斜面が崩れていたり、木が生えて藪漕ぎのようなところも出てきました。
中山峠への登山道とオサラバして追いかけた廃レールは、すぐになくなってしまいました。南東に進めば、みどり池と本沢温泉を結ぶ登山道に出ることはわかっていたので、進行方向をそちらに決めしばらく行くと、またまた森林軌道跡。先ほどとは別な線です。
線路は続くよどこまでも!
登山道よりも上を通っています。このままレールをたどれば本沢温泉に行くんじゃないかな?と思わせる感じの伸び方でした。
レールアップ!僕は決して鉄男くんではありませんが・・・
なんて考えながらレールを追っていたら突然終わりました。この先すぐに登山道に出られました。
この段階で天狗岳へ行くことはやめました。 どこかで区切りをつけてすぐ下山しよう、ふもとの町の図書館にでも行って、とりあえず小海町の町誌をめくって森林軌道跡、トロッコの資料がないか調べよう!という気になっていました。
来年きましょうか!クリンソウ!
あとでわかったんですが、トロこっで運ばれていたのは、もちろん木材です。それと本沢温泉で採取された硫黄も運ばれていたそうです。
今は針葉樹に囲まれたみどり池周辺ですが、それが魅力的なシラビソ小屋ではありますが、今から50~60年前はまさしく伐採の現場で、見晴らしがとてもよかったそうです。写真の山は稲子岳ですが、稲子の南壁の取り付きから見えていたそうです。
シラビソ小屋。一度は泊ってみたい小屋ですね!
こまどり沢の広場まで戻りました。こうなったらとことんレールです!登りではトレースしなかった森林軌道跡を使って下ります。と、意気込んで下りはじめましたが、この赤布を見ても分かるのですが、森林軌道跡を利用した登山道でした。トロッコ道はヘアピンカーブの連続で、トロッコ道を無視して植林されたカラマツの間伐が放置されているので、通ることが出来ないカーブも多かったです。そんなところには、こっちだよ!と言わんばかりにマーキングがされています。
今回最後に出会ったレール。
川の真ん中の平なのは木の板です。意図としては橋のようなものなのですが、これでは渡れません・・・飛び石伝いに渡った先に、道標がありました。な~んだ、あまり歩かれてはいないけど登山道でした。
車に戻って、さぁ、図書館、図書館・・・しかし小海町のHPを見ても図書館がありません・・・ 人口5千人くらいの小海町です。国道沿いの、小海町総合センター内の図書室というのが図書館に位置付けられているということでした。結局、町誌を見てもわからず、森林軌道跡のことを調べていると言ったら、平成19年初版の「小海のお宝100選」という小冊子登場。500円 認定番号24番に「八ヶ岳のトロッコ軌道跡」として、短い文章で紹介されていました。
ここで終わりか?と思われた時、センターの方が紹介してくれた人、鷹野圭太さん。
松原湖の湖畔で釣り宿「リゾートイン立花屋」の経営者です。松原湖に踵を返したのは言うまでもありません!
まだ、40歳前後と思われる鷹野さんは、突然行ったにもかかわらず、丁寧に対応して頂きました。出会いに感謝です!なんでも地元の観光業に携わる者として、地域の観光資源の掘り起こしというつもりで、この森林軌道跡と向き合っているそうです。トロッコ道探検のツアーもやったりしているそうです。
今なら、伐採に関わった人たちの話も聞けるし、その方たちがいなくなったらトロッコの事もみんな忘れてしまうので、今のうちに資料をまとめて置きたいというのが調べ始めたきっかけだそうです。素晴らしい!いくつかの写真も見せていただきました。一緒に映っているのは、ちょっと失敬してきた、トロッコのレールを枕木に固定する釘。
有難いことに、彼のまとめた資料もいただきました。赤線がトロッコ道です。黒線が登山道
山もいろんな楽しみがあります。
昔、と言ってもつい最近までのトロッコ道の出来事でした。昭和37年に廃線
感じることが大切だと思います。
それにしても、一日で答えが見つかったなんて、なかなかない一日でした!鷹野さんに感謝!
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