大無間山(だいむげんさん)2329.6m
南アルプスの光(てかり)岳より南の山域、大井川と天竜川に挟まれたエリアを「深南部」と呼びます。ある意味この広大なエリア、日本列島に最後に残された秘境といってもいいエリアです。そして、このエリアに入ることが許されるのは、山登りにおいてすべて自己完結できる登山者のみです。どこでも泊まれて水も確保できて、食料から何から全て背負えて登れるということ。営業している山小屋はないしルートも選び放題ですが、自分で考えて計画しなくてはなりません。自分が行きたい山と、自分が行ける山というのを判断できる登山者しか入れないエリアです。そんなエリアですが、井川の田代からの大無間山は比較的登られている山です。長いし、危険な個所もありますが、整備されたルートという感じです。
早朝4:00に田代を出発。主稜線に上がったところが雷段。段というのは尾根上の傾斜がない所という意味です。〇〇段という地名はたくさんあります。
シカの食害にあわないために巻かれたビニールテープ。
田代の諏訪神社から登り始めて、標高差約1,000mを稼いだ三角点ピーク、五葉沢の頭。三角点があり、避難小屋があり、三角点名が五葉沢。とても気持ちのいいピークで、10人も泊まればいっぱいになりそうな避難小屋ですが、テントを持っていれば快適なテントサイトがある場所です。
小無間避難小屋。この山にチャレンジする人の多くが、ここに泊まって大無間山まで翌日ピストンして下山するというパターンです。
井川の田代集落の登山口から大無間山山頂まで、三つのセクションに分けて考えるととらえ易いです。①田代-避難小屋(五葉沢の頭)、②避難小屋から始まる鋸歯の通過、③小大無間山-大無間山。①と③は問題ありません。このルートでこの山を難しくしているセクションは②です。避難小屋を出てからそれは始まります。昭文社の山と高原地図に則して書きます。避難小屋のあるピークが五葉沢の頭でP4と書かれています。天気が良ければ目の前にP3が見えます。下って登るという行為を、P3、P2、P1と繰り返します。それぞれのピークがほぼ同じ高さなので高度を稼ぐというよりも目の前に立ちはだかるピークと戦うという感じです。登って下るということを繰り返します。地名のまま鋸の歯のようです。おまけに痩せ尾根で神経を使う縦走です。
ギザギザの最後のP1のピークを過ぎると、いったんコルに下ります。P1と小無間山の間にあるコルです。ここが問題です。このルート上の最も難しい所です。左は関の沢に落ちるガレ。右はさらに大きな外山沢に落ちるガレ。毎年浸食が進んでいる危険地帯。
左の関の沢に落ちるガレの縁はさほど問題ありません。こんな感じの昔の峠道のような様子ですが、この先が崩落しています。
崩落してしまった箇所は20mくらいの範囲です。でも絶妙な感じで左の沢(関の沢)、右の沢(外山沢)の真ん中にいやらしい感じのコルがあります。
右の外山沢のほうが規模がでっかくて迫力があります。
解りにくいかも知れませんが、突き当りの崩落地に着くと、トラロープが設置されています。何本か垂れ下がっていますが、一番右のやつが新しそうです。土と岩のミックスですが、ステップを切りずらい岩ベースの斜面です。
悪場をこなして振りかえったところ。
この鋸歯というセクションが曲者です。P1と小無間山の間の崩れをやっつけた後で見たP1です。
避難小屋のある五葉沢の頭から、この小無間山までの鋸歯はやばい感じです。心して向き合った方が良いです。でも小無間山からは樹林帯の中で展望はないけど、傾斜のない稜線上の快適な尾根道が続きます。
鋸歯の危険地帯を過ぎて、ハードな小無間山までの登りをやりこなしたら、まるで別世界。シラビソの森を散歩するって感じのゆるやかな稜線歩き。
途中の崩壊地、唐松谷ノ頭からの展望。大無間山は見れませんでした。
こんな風に迷いやすい所にはしっかりサインされているので、とても整備されているルートだと思いました。ありがとうございます。
山頂手前の開けている展望台からの、南アルプスの主稜線。あの雲の中に光岳があります。
日本200名山で、1等三角点の山頂。
そんじょそこらの三角点とは違うサイズの一等三角点の柱石。
修験の山?こんなものも見つけました。だいぶ月日が経ってます。
帰り道、上ってくる登山者としばしの会話。尾根伝いに光岳まで行くという逞しい青年。
山の天候です。時間とともにガスってきました。
②のセクションに戻ってきました。いやらしい下り。
意外に人気の山なんだと思いました。下っている時3パーティにすれ違いました。ほぼ皆さん、避難小屋泊まりの予定でした。
鋸歯の悪場がなければ、もっと登り易い山だと思いました。深南部の山の東のはずれの山です。アプローチ、山梨からだと3時間はかかります。
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