2016年9月6日火曜日

長衛小屋

先週映像収録の折りにお世話になった山小屋「長衛小屋」です。南アルプス北部の登山のベースになるのは広河原と北沢峠。北沢峠周辺にはいくつも山小屋があります。アプローチも山梨県側から入るか、長野県側から入るかで、同じ北沢峠に行くのですが印象がだいぶ違います。

加えて、山小屋の名称が短期間に変わったことで、ちょっとわかりにくくなっているのでブログに書いてみたいと思いました。山梨側、長野側、どちらからバスを利用して北沢峠に入ってもほぼ同じ場所で降ります。バスを降りたところが北沢峠2030m。峠から近い順に利用できる山小屋を書くと
こもれび山荘 50m
長衛小屋   500m
大平山荘   550m
仙水小屋   1500m   
となります。甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳を中心にいろんなプランを考えられるところなのでアプローチから逆算して山行計画を立てるのがいいと思います。バスのタイムスケジュールが11月の初めまで決まっています。うまく組み立てられれば日帰りも可能です。まずはすべての基本、しっかり歩けるということが基準になりますが・・・


4年前に建て替えられたばかりの長衛小屋。


長衛小屋の由来は、明治の終わりから昭和にかけて活躍した山案内人、竹沢長衛という人物に由来します。小屋手前の岩に、竹沢長衛を偲ぶレリーフがあります。


その竹沢長衛さんの写真が長衛小屋のありました。個人的な繋がりがあるわけではないし、登山史の中の人物なのですが、ことごとくフレンドリーな表情の写真ばかりで親しみを持てる感じの方です。ここに一番初めに小屋を建てたのが長衛さん、ちょうど長野県と山梨県の境で、山の世界は行政区分とは関係なく尾根と沢の世界なので、なかなか理解しがたい展開になってしまった小屋の名称だったのでしょう。長衛さんの後継の方が峠に近いところに長衛荘という山小屋を作って営業され、時代がうつろいもともと長衛小屋があった、当時駒仙小屋と呼ばれていたものが小屋の建て替えがあって、本来の長衛小屋の名称がつき、峠の長衛荘がこもれび山荘になった。その名称変更の肝は、伊那市の市長が山好きで、本来の名称に戻したということだったようです。

周辺の山小屋で一番ナチュラルな場所に建つが今の長衛山荘。竹沢長衛も自然に水が確保できる場所に小屋を建てたわけです。そんな長衛山荘です。


竹沢長衛愛用のピッケルということでした。今のストックと同じ役目でしょう。


 現在の長衛山荘は収容人数60名弱。こじんまりしていますがとても清潔で泊まりやすい小屋です。


ひとりひとりが寝るスペース。ゆったりしています。この場所は、小屋泊まりはほかの小屋も利用できるので選択肢があります。テント泊も可能です。周辺で一番のテントサイトが広いのが北沢で、長衛山荘に隣接しています。マックスで100張以上。


小さい小屋の靴棚 。


狭いけど、乾燥室完備!


ロビー兼談話室。山小屋のことわからない方には理解いただけないと思うんですが、とても特殊な環境です。その中で乾燥室や広いロビーはとても重宝します。厳しい環境の中で、みんなが快適に過ごしたいと思っています。それは利用者と小屋の人たちが協力し合ってはじめて成立することです。


食堂。


夕食。


朝食として準備いただいたお弁当。炭水化物は即エネルギーとして活躍するのでありがたいです。小屋によっては、長期保存可能なパンとチーズだったりするのですが、そんな食事は食べた感じがしません。パックを開けた瞬間にがっかり…やはりおむすびやおこわの食事は頑張って登ろうというモチベーションにつながるので有り難いです。うまく言えませんが日本人でも外国人でも同じだと思います。


小屋の前で、栗沢山に直接登るルートと仙水峠に行くルートに分かれます。右が栗沢山西尾根のルートです。


左に行くと仙水峠。こんな岩ゴロゴロの変わったルートです。


仙水峠で出会える甲斐駒ケ岳。 この写真は摩利支天ですが。


 いちどは泊まってみたい仙水小屋。登山者の心得をしっかり叩き込まれる小屋です。今では貴重な小屋かもしれません!


仙水小屋から長衛山荘まで、決して簡単な登山道ではありませんが、整備はされています。


ここはフィックスロープが設置されています。


長衛山荘に戻って来たらたくさんのテントがカラフルでした。
皆さんそうだと思うのですが、登山をするのに目いっぱい1日行動するということ、そんな発想で計画すると思います。でも、北沢峠周辺に行くとそんな発想ではなく、アプローチの内容から外れて、あるがままの自然を受け入れてゆっくり堪能するというのもいいのかと思ったりします。


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