2016年9月2日金曜日

栗沢山

某CM撮影のお手伝いに行っていました。花崗岩と清流と、といったところがテーマのようです。撮影隊の皆さんは山登りを知らないのでそこの部分のサポートです。同じようにカメラを回すのにもテレビとは雰囲気が全く違っていました。映画制作なんかに近いのでしょうか?とにかく大勢でした。監督さんも助監督さんもいて、カメラマンは3人もいました。

県営林道南アルプス線の広河原ゲートを何台ものハイエースで通過。


北沢峠手前で見えた目的の山、栗沢山です。毎週台風が来てなかなかスケジュール通りには事が進みません。翌日一発勝負でトライとなりました。


日の出前に山頂に到着するため長衛山荘を深夜の出発でした。山頂ご来光狙いの富士登山みたいでした。


栗沢山山頂には日の出前に着きましたが・・・強風とまとわりつく雲。


気温が一桁、5~6℃くらいだったでしょうか。そんでもって風速が10~20m。寒すぎでした。とりあえずツエルトを張りました。マックスで5~6人は寒さをしのげる感じです。薄いナイロン生地のツエルトの内と外では別世界です。こんな現場で実感できます。


いい感じの朝焼けのアサヨ峰と北岳。西からの風、写真の右から左に強風。


栗沢山から北のピークを狙っていましたが、ガスが一向に晴れません。


全体的には青空でいい感じではありましたが、北の方角だけへそを曲げている感じでした。青空と雲の移ろいに撮影隊が一喜一憂していました。ガスが晴れそうになると自然に「がんばれー!」とエールが沸き起こりました。ガスが取れてピークが顔を出してくれというエールです。気持ちはわかります。


周りを見渡すと季節は移ろい、コケモモの実も色づきはじめています。


ほとほと疲れたころ、待ち望んでいたピークが顔を出してくれました。甲斐駒ケ岳です。


ここまで顔を出してくれて一件落着。栗沢山から甲斐駒ケ岳を撮るために、栗沢山山頂に6時間もいたことになります・・・


すっかり雲が取れて、北岳や間ノ岳、塩見岳、悪沢岳なんかが顔を出してくれました。


栗沢山山頂から仙水峠に下りました。この尾根は甲斐駒ケ岳の展望台です。甲斐駒ケ岳を見るためにここに登る人も多いです。そのくらい迫力ある甲斐駒ケ岳です。


2714mの栗沢山山頂から2264mの仙水峠に下ると、山頂よりもぐっと甲斐駒に近づいて大迫力の大きな山の塊が目の前に立ちはだかります。その姿を見るたびに敬虔な気持ちになります。こんな大きな自然の姿を目の前にして、一人の人間の僕はいかに小さな存在なのかを実感してしまうのです。そんな自然のダイナミズムに触れることが出来る場所だから、フィルムに収めたいということになるのだと思います。

写真は仙水峠の岩ゴロゴロの歩きにくい登山道です。


仙水峠から野呂川の支流の北沢が始まって、その沢沿いに登山道は付いています。沢の源流で、すぐに豊かな天然水があふれる場所です。冷たくておいしい水の湧出。


思わずカメラを回すとなりました。


僕は3日間のお付き合いでしたが、全日程は6日間。
こういった体験は感性のぶつかりあいみたいなものだと思いました。人間の数も物資の数も簡単に右から左には移動もままなりません。周到な準備の元、天候に左右されながらこの素晴らしい自然のままの姿を映像に収める努力。登山の基本は体力、歩けるかどうかですが、そんな視点とは別な伝え方もあるのだなと思った体験でした。お疲れさま!






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